福西です。
Sちゃんは連立不等式(一元一次)をしました。
以下の問題を考えます。
学校にx台の長椅子があり、生徒y人が座る。
6人ずつ座ると15人座れず、7人ずつ座ると3脚余る。
椅子は何脚から何脚までの可能性があるか?
まず「6人ずつ」の情報から、
y=6x+15
と生徒数が出ます。
次に、「7人ずつ」の情報を式に翻訳して連立させるわけですが、ここで方程式(等式)の考えで、
7(x-3)
としてしまうと、はまります。
最初問題を見た時、私もはまりました。
(上のやり方でも、できないことはないのですが、連立方程式を2セット解くはめになって、面倒です)
連立不等式では、方程式の時以上に、状況を丁寧に思い浮かべる必要があります。
3脚あまるということは、x-4脚までは7人フルに座っている状況です。
そして最後の椅子(x-3番目)に、
1~7人
座っている可能性が考えられます。
ここで、
「最後の椅子に座っている人数」を、αと置きます。
つまりこれで一本の式、
1≦α≦7
が出てきます。
そして、生徒数は、
y=7(x-4)+α
と書けます。
これを先のy=6x+15とつなげて、
7(x-4)+α=6x+15
7x-28+α=6x+15
x+α=43
α=43-x
と、αをxの式で表せました。
そして、αを最後に、
1≦α≦7
の中に放りこめば、
1≦43-x≦7
-42≦-x≦-36
36≦x≦42
(最後の式変形に注意。符号を反転させると、不等号の向きも反転します)
これで、椅子は36脚以上42脚以下、と求まりました。
ところで、αは、問題の文中には与えられていませんでした。
これは自分で置いた文字です。
Sちゃんは「そういうことをしてもいいのですか?」と質問してくれたので、「思いつける限り、そうしてください」と伝えました。(学校でそうしてなくても)。文字を置いた方が、式を整理するときにより機械的に、間違いなくできるからです。
(実は上のyという文字も、もともとの問題にはなくて、必要だと思ったから私が自分で置きました)
次の問題を見ていきます。
4000mの距離を、最初は50m/sで、途中から200m/sで移動した。
32秒以上35秒以下で到達するには、何秒からスピードを切り替えればいいか?
Sちゃんは最初、50m/sで移動した時間をx、200m/sで移動した時間をyとしました。
そして、問題文を
50x+200y=4000
32≦x+y≦35
と翻訳しました。
一つには、次の方法が考えられます。
50x+200y=4000
x+y=32
と、
50x+200y=4000
x+y=35
という不等式の「端の値」を使って、2セット連立方程式を解くという方法です。
けれども、これは正直、面倒でしたくありません。
そこでSちゃんは、前にした問題を思い出し、
「x+yをtと置く」
と、新しい文字を定義してくれました。
そしてyを消して、次のように書き直しました。
50x+200(t-x)=4000
32≦t≦35
第1式から、
t=150x/200+4000/200=3x/4+20
と出ます。
これを第2式に放りこめば、
32≦3x/4+20≦35
16≦x≦20
と求まりました。
「x+yをtと置く」
という、新しい文字tを自分で定義してくれたことが、Sちゃんの素晴らしく理解してくれていたことでした。
(仮に途中、計算間違いがあって答が出なかったとしても、私ならばそこに部分点のほとんどを与えると思います。)
後、残りの時間で、解の存在範囲を求める問題をしました。
1)与えられた連立不等式を解くところから手を付ける
2)1)の結果を数直線に図示する
3)2)の絵を見ながら、間におさまる不等号を考える
4)不等式を整理する
このような手順になります。
3)の手順について説明すると、たとえば(連立不等式を解いた結果が)
i)
x<5
a+3<x
なら、
a+3<x<5
↓
a+3 □ 5
この□に入る不等号を考えることになります。(「<」が答で、a<2がxの存在条件となります。)
他のケースだと、
ii)
x≦5
a+3<x
iii)
x<5
a+3≦x
iv)
x≦5
a+3≦x
がありますが、i)~iii)は「<」、iv)の両方等号が入っている場合だけ、「≦」となります。
このように一度解き方とパターンを整理しておさえました。
“中学数学B(2016/5/26)(2)” への3件のフィードバック