福西です。
先週、山吹を見たので、次の和歌と俳句を紹介しました。
山吹の花さきにけり川づなく 井出の里人いまやとはまし
──藤原基俊(千載和歌集・春112)
古池や 蛙飛こむ 水のをと
──芭蕉(春の日・貞享三年)
(生徒へのお詫び)
授業で、「山吹や蛙飛こむ水のをと」もあわせて紹介しましたが、『芭蕉全発句』(山本健吉、講談社学術文庫)を調べたら、次のようにありました。「其角がそのとき初五に「山吹や」と置くことを進言したという伝説がある(支考、葛の松原)。」と。よって正しくは伝説であって、芭蕉の作ではありませんでした。来週、訂正をお伝えします。
最初の和歌で、「川づとはなんでしょう?」というクイズをしたところ、Sちゃんがさっそく「カエル。だって『かわづとびこむ水の音』って言うもん」と答えてくれました。
次に、その蛙(かわづ)の出てくる芭蕉の句にちなんで、山吹と蛙の取り合わせが昔から好まれていたという話をしました。
暗唱した後、今日も外に出て俳句作りをしました。
園庭にある銀色のグローブジャングルを「ミレニアムファルコン号」とM君が名付け、それが全員のうちではやっていました。
春の時 セミはまだまだ あとすこし
はるのかぜ たつまきみたいに かぜがふく
ゆうがたに おつきさまが いるようだ
Ryohei
フラココと 風ときょう走 5時5分
赤ちゃんが ふつうにフラココ ゆらしてる
ファルコン号 風はまだまだ 5時5分
Sizuku
春光(しゅんこう)や さしこむ園てい ファルコン号
ふらここや ゆれる園てい ファルコン号
なつかしき うんていひくく 足はつく
Michitada
先週の句に加えて、他にも月がのぼっているのを見かけて「ウサギがファルコン号を見ている」と言ったり(R君、M君)、風のことを涼風と暖風と表したり(M君)、五時五分の連作を作ったり(Sちゃん)していました。思い思いの様子に「春だなあ」と私も思いました。
「あらたむるにはばかることなかれ」といいますが、こういう場所でそれを伝えるのは勇気がいります。私も「春の海 ひねもすのたり のたりかな」の句を謝恩会で紹介するたび、直前に亮馬先生に「蕪村やったね?」と毎年確認していることを思い出しました。5,7,5は覚えても作者まで正確に覚えるのは思うほど簡単ではありません。一茶のは比較的特徴があるのでわかりやすいですが。