『かず』(2年B・3年)クラス便り(2016年2月) 

「山びこ通信」2015年度冬学期号より下記の記事を転載致します。

『かず』(2年B)『かず』(3年) 

担当 吉川 弘晃

 2年生と3年生の「かず」クラスは、秋学期の途中から、生徒がそれぞれ一人ずつとなり、以前と比べると寂しくはなったものの、一対一でじっくりと「かず」の単純さや難しさ、不思議さや厳しさ、そして何よりも楽しさに対して、ゆっくりと向き合っていける場になったので、改めて新鮮な気持ちで毎回、授業に取り組んでいます。
 両クラス共に、原則としては毎回用意するプリントを生徒さんに解いてもらい、分からなかったところを一緒に考えていくという、極めてシンプルな方法をとっています。今学期で扱ったテーマは大きく分けると、①単位(長さ・重さ・水量・距離・時間)、②図形(四角形・三角形)、③掛け算と割り算の文章題です。
 3つの課題のうち、①については、ものの多さを数を使って判断する、という社会生活で最も必要なスキルに関わるため、特に力を入れて学んでいます。センチやグラム、リットルといった単位を日常生活の様々な場面に当てはめて考えてみるのは勿論のこと、授業で大事にしているのは算数に登場する言葉の定義を何度も繰り返して確認していくのです。1リットル=1000ミリリットル、1メートル=100センチメートルというに単純なものだけでなく、例えば「距離」と「道程」は意味がどのように異なるのか、絵で示すならどのようになるか、絵を使わずに小さな子供に説明するならどう言えばよいか、といったことを生徒さんと一緒に考えていきます。すなわち、「かず」は数字の世界で完結するのではなく、人間社会の中に息づいている以上、身の回りにある一つの「ことば」として感じることが何よりも大事なのです。
 「ことば」の要素がより重要性を帯びてくるのは③です。小学校2~3年生で求められる基本的な文章題のレベルは、掛け算や割り算の作業を一度行うだけで済むものが多いですが、教室では作業が2~3回必要なものを選んでやっています。そこでは足し算と割り算、掛け算と引き算の両方の作業が必要だったり、自分で図を書いて考える作業が必要だったりします。前者では、「かず」に限らず、複雑そうに見える物事を簡単な複数のパーツに分け、ゆっくりと順番に考えていく忍耐力、そして後者では、文字や数字で書かれていることを具体的なイメージに変えて考える想像力を養うことを目的にしています。最初は混乱したり、面倒くさそうにしていた生徒さんも、似たような問題を何度も一緒に考えることで少しずつこうした力がついてきているように思います。