「山びこ通信」2015年度冬学期号より下記の記事を転載致します。
『かず』(1年)『かず』(2年A)『かず』(5〜6年)
担当 福西 亮馬
1年生のクラスでは、20までの数の計算、文章題、パズルをしています。文章題は、「文章を正しく読む」ことが基本です。「正しく」には「すらすらと」という意味も含まれます。読むことに時間がかかりすぎると、文意が取れなくなってしまうからです。1年生の間は、まだこの点が当たり前ではありませんが、それは繰り返し読むことで解決します。そして文意が取れてからそのイメージを式に落とし込みます。ここで、式を先に書いてから文章を当てはめないように気を付けます。パズルは、間違いさがしのほかに、algoや最短経路問題を取りあげました。最短経路問題というのは、複数の道順にそれぞれ数字(重み)がついており、どこをどのようにたどればその合計が少なくすむかということを考えます。いわば計算でたどる迷路です。より良い答を見つけ出すために、何度も足し算をしてもらいました。唯一最適な答が見つかった時はうれしく、それまでの苦労は一気に吹き飛びます。考えることに対して、面倒くさいというイメージが増えるよりも、考えるといいことがあるという経験を増やして、2年生に上がってほしいと思っています。
2年生のクラスでは、おりがみで多面体をよく組み立てました。立体幾何には強くなってほしいと思います。生徒は何でも「やればできる」と思ってくれているようで、色々な切り口にもねばり強く取り組んでくれています。最近では十分に解きごたえのあるパズルを毎週1題ずつ出題しています。9マスのナンバープレイス(ナンプレ)を2週にわたって考えたこともありました。「こうだからこう」「まだこの可能性も残っている」と、日々、論理的思考に鋭くなってくれています。時には生徒から授業の内容を提示されることもあります。この間は、生徒が自分でJAXAに出したという手紙を見せてもらいました。「なぜ人工えいせいのまわりは金なのですか? またほかの色でもいいのですか?」と。その返事がJAXAから届いたというので、私も興味を持ってそれを音読させてもらいました。好奇心をもってアクションを起こすことは、何よりも大事ですね。
5~6年生のクラスでは、論理パズルのほかに、数学的なトピックを1時間かけて考察しています。以前は素因数分解を、最近では確率を取りあげました。確率は、単元的に言うと大きな数と分数との接点にあたります。さて確率のランダムウォークという問題では、偶数が出たら左、奇数が出たら右という出来事を7回繰り返すことを1回の試行とし、100回近くの結果を協力して表にまとめました。その背景に2のべき乗という大きな数が隠れていることを見ました。そして試行回数を増やせば増やすほど、グラフの形状が三角から釣鐘になっていくことを確認しました。また同じく確率の問題から、「モンティ・ホール問題」というものを取りあげました。生徒たちは「なんで?」「なんで?」と素直な驚きを表してくれました。