浅野です。
このクラスは進度が人によってバラバラなので、全員のことは書かず、特に気づいたことだけを取り上げます。
Aさんは英語があまりわからないというところから、中学程度の英文法はある程度わかるところにまでなってきたようです。本人に英語について感じることを聞いたら、単語を知らなさすぎると言ってくれました。こちらもまさに同じことを感じていました。
ということで、比較的易しい英文の重要単語を穴抜きにしたプリントをやってもらいました。そこから一文抜粋しますので、みなさんも考えてみてください。
They grew on almost any kind of ground.
すぐに意味がわかりましたか?そうだとしたら相当英語が得意か、畑仕事が好きかのどちらかでしょう。”they”, “grow”, “any”, “kind”, “ground”などはたくさん意味がありますからね。ここでの”they”は”tomatoes”を指していて、「それら(トマト)はほとんどどんな種類の土地でも育つ」となります。「彼らは…」と始めるとなかなかわかりません。福西先生がことばのクラスで取り組まれている推理クイズ(水平思考クイズ)と似ていますね。
こうしたことは文法でも単語だけ取り出しても教えることはできません。それこそ小さい頃から柔軟な思考を養いつつ、たくさんの文章を読むしかないでしょう。
>こうしたことは文法でも単語だけ取り出しても教えることはできません。それこそ小さい頃から柔軟な思考を養いつつ、たくさんの文章を読むしかないでしょう。
本当にそうですね。
柔軟な思考・・・どうすれば身につくのか?
山の学校の取り組みは、この思考を大事に育てようとしているように思います。「収穫を求めず」と言っているくせに、こうした「収穫」の話をするのは本意ではないのですが(笑)。
一見無駄に見えることも無駄と思わずにじっくりやってみることが不可欠でしょう。すぐに結果を求める姿勢を続けていると、かえって柔軟な思考が身につかないように思います。
英文を読む上で、語彙は多い方が有利です。しかし、英語が苦手な人は辞書を使っても英語が読めません。使い方が下手というのはおおざっぱな言い方であり、じっさいには語彙以前の読解センスが欠落していることが多いです。
「読む」というのはきっと複雑な脳の作業なのでしょう。書き手と読み手の息が合わないといけないので、読み手は自分の頭か心の中で、書き手のつもりで文章をつむぎ続けないといけません。
文章を読みながら書き手のオチを途中で予測し、実際にそのオチが書かれているのを確認できたら、読めた!という達成感を味わえます。書くことだけでなく、読むこともクリエイティブな知的作業だと思います。
また、上の英文の例では、見落としがちなのが on です。on があるので grow は自動詞とわかります。なければ他動詞なので、they は人間と言うことになります。on があるので、they は農作物になります。
どうすれば on の有無に気づくようになるでしょうか?
技術的には、英作文をたくさん繰り返すのが大事だと思います。あるいは、英文をたくさん書いて、添削してもらうなど。英文和訳だけでは、on の重要性に気づかないままで終わりますね。
>They grew on almost any kind of ground.
>すぐに意味がわかりましたか?
>また、上の英文の例では、見落としがちなのが on です。on があるので grow は自動詞とわかります。なければ他動詞なので、they は人間と言うことになります。on があるので、they は農作物になります。
なるほど。何となくTheyは人間以外のことかなと思いましたが、この「何となく」がonの説明によってすっきりしました。英語も勉強というよりはクイズみたいに思えると「がってん」ですね。
英語が中学1年生で習い始めることを考えると、それは小学1年生で算数を習い始めることと、純真な好奇心においてはパラレルな出来事かもしれません。とすれば、小学1年生の頃に「なぞなぞ」を出したり出されたりして集めていたころと同様に、一つ一つ「がってん」の気持ちを蒐集していくことが、急がば回れのように感じます──と、私の場合は、過去にそうしておけばよかったなあと後悔も含めて思い出すばかりですが^^
でも学ぶのはいつでも遅くないのかもしれませんね。自動詞・他動詞の違いも、ラテン語をちょっとかじり出して、ようやく「あ、面白いな」と感じるようになったこの頃です(笑)(日暮れて道遠しとも言えますが)。