1203 山の学校ゼミ(倫理)

浅野です。

 

ベンサムとミルを読みました。

 

功利主義つながりです。ベンサムの功利主義は立場がはっきりとしていてわかりやすかったです。人の死亡なども金銭(量)に換算して比較するといったことは現代で実際になされています。他方で、一人の健康な人を殺して各臓器を移植して複数の人の命を救うということは、ベンサムの功利主義からは肯定されそうですが、我々のうちの多くの人の直感には反します。

 

ミルはよくも悪くも折衷的です。ベンサムの功利主義に理解を示しつつも、高級な快楽があるといった質の区別をします。次の言葉は有名ですね。

 

満足した豚であるより、不満足な人間であるほうがよく、満足した馬鹿であるより不満足なンクラテスであるほうがよい。そして、もしその馬鹿なり豚なりがこれとちがった意見をもっているとしても、それは彼らがこの問題について自分たちの側しかしらないからにすぎない。この比較の相手方は、両方の側を知っている。
(ベンサム著、関嘉彦編『世界の名著 (49)ベンサム/J.S.ミル』(中央公論新社、1979)