『かず』(3年)『かず』(2年B)(クラス便り2015年11月)

山びこ通信2015年度秋学期号より下記の記事を転載致します。

『かず』(3年)『かず』(2年B)

担当 吉川 弘晃

 小学生の「かず」クラスを担当させていただいて、はや半年、ようやく授業の進め方にも馴れてきたように感じます。そもそも、このクラスでの私が掲げた目標は「自分ひとりで頭を使うことを楽しんでもらう」ことでした。従って、授業を始めたばかりのころは小学校で習う算数よりも少しレベルの高い問題を解いてもらうことにしていましたが、「頭を使う」ということに囚われすぎてしまい、「楽しんでもらう」という点が疎かになっていたように思えます。しかし、後者ばかり重視してしまうと、「やりたいことしかやらない」という悪弊が身についてしまい、結果的に生徒さんの視野を狭めてしまうことにもなります(「見たいものしか見ない」癖がつきやすい情報化社会ではこれだけは避けたいことです)。

 そこで、秋学期から授業の目標を次のように変えました。「最初は自分ひとりで、次に友達と一緒に頭を使うことを楽しんでもらう」つまり、授業の中で、自分ひとりで考える時間と友達と一緒に考える時間の両方を用意するということです。

 具体的には、授業の前半では、講師が指定する課題を自分ひとりで解いてもらいます。迷路や図形パズル、最近だと簡単な論理パズルなどに挑戦してもらっています。最低、10~15分は自分ひとりで考えてもらい、もし答えが分かっても友達に教えてはいけません。また、答えだけでなく、答えに至るまでの過程を、自分で講師に説明できるようになるまで、考えてもらっています。なぜなら、このクラスは正答率を「競う」場所ではなく、自分なりのやり方で時間をかけて頭を使うことを「楽しむ」場所だからです。

 ただし、友達と「競う」楽しみも忘れてはいません。授業の後半では、かずや論理を使うゲームを行います。前半の課題では1つの答えを求めて自分ひとりで頭を使いますが、後半のゲームは複数人で行うので、友達が何を考えているのかを含めて頭を使わなくてはなりませんし、その場の状況によって対応も変わってくるため、日々、新鮮な楽しみが生まれていきます。ゲームのルールに馴れた生徒さんがいつも勝つようになると、他の生徒さんを含め、教室の皆が新しい気持ちで頭を使ってくれるよう、講師が少々、ルールに手を加えるなどの工夫をしています。