『将棋道場』(クラス便り2015年11月)

山びこ通信2015年度秋学期号より下記の記事を転載致します。

イベント『将棋道場』

担当 百木漠

スクリーンショット 2015-11-09 19.10.29 すでにブログなどではお知らせさせていただいたのですが、このたび9月の将棋道場をもって、6年半務めさせていただいた将棋道場の担当を替わらせていただくことになりました。開始時から長く務めさせていただいたこともあり、将棋道場は個人的にも思い入れのあるイベントだったのですが、私が今年3月に大学院を卒業して研究の仕事が忙しくなってきたことや、10月から月曜日に某大学で非常勤講師を担当させていただくこともあり、このタイミングで山下先生にお願いして、担当を交代させていただくことになりました。
 将棋道場は、私が大学院の修士2回生のときから博士課程の卒業に至るまで、6年半にわたって立ち上げから関わらせていただいたイベントです。これまでにたくさんの子供たちが将棋道場に参加してくれ、数えきれないほどの勝負を私の目の前で繰り広げてくれました。テレビゲームやインターネットやスマートフォンなどがこれだけ普及した時代にあっても、子供たちが将棋盤と駒をつかった昔ながらのゲームに熱中してくれる様子を見せてくれるのは、私にとっていつも大きな喜びでした。
スクリーンショット 2015-11-09 19.11.05 ときには勝負に負けて悔し泣きをしたり、なかなか勝ち星が伸びずにふてくされていたりする子供の姿を目にすることもありましたが、そうした経験を含めて、子供のうちに将棋を通して勝負の厳しさや対局のマナーを学ぶのはとても良い学びになるはずだと私は考えています。実際に、最初の頃は負け続けてもいても、長く将棋道場に通ってくれた子供たちはみな、少しずつ実力を伸ばしていって、勝負に勝つ喜びと将棋の面白さ・楽しさを知ってくれたことと思います。
スクリーンショット 2015-11-09 19.11.15 将棋は礼に始まって礼に終わるゲームだ、ということも毎回くり返し子供たちに伝えてきて、少しはそういう「礼儀」や「作法」の大切さが子供たちに伝わったのではないかと自負しています。まだ完璧には実践できていなくとも、単にゲームの勝ち負けだけに還元できない、そういった「礼儀」や「作法」があることを子供たちに知ってもらえれば、そのことが大人になったときに何らかのかたちで役立つはずです。それと同時に勝負へのこだわりや、集中して考える力や、先を読む思考力なども。
最後に将棋道場が終わったあとで、何人かの子供たちが「これまでありがとうございました」とちゃんとお礼を言いに来てくれたのも嬉しかったです。自分がこれまで伝えてきたことを、子供たちがちゃんと受け取ってくれたのかなという気がしました。どの子もまだまだ将棋をたくさん指せば指すほど実力は伸びると思うので、この後も引き続き将棋道場に通ってもらい、さらに強く逞しくなってもらえればと願っています。
スクリーンショット 2015-11-09 19.11.27 後任には大学院の後輩である中谷勇哉先生にお願いしてあります。しっかりした将棋の実力もありますし、真面目で親切な人柄から、彼なら信頼してこのあとの将棋道場を任せられると思いました。最初のうちは慣れないこともあるでしょうが、時間をかけて彼なりの新しい将棋道場を作っていてもらえればと伝えてあります。皆さまにも温かく見守っていただければ幸いです。これまでどうもありがとうございました。