福西です。
先週と2週連続で、次の問題を考えました。
この工作用紙(1cm刻みで、30cm×40cmまで目盛がついてます)1枚から、できるだけ1辺の長い立方体を作りなさい。
ただし、問題文に書かれていないことは、禁止されていないので、OKとします。
最初に生徒たちが考えたことは、立方体(サイコロ)の展開図でした。
そこでY君が展開図には11種類あることを思い出し、その中で効率的な形はないかと探しました。
最初に思いついたのは、1番の形でした。その次が、10番。そして5番。
どこかに、効率がよさそうな形が隠れていそうに見えますが・・・。
残念ながら、実は、どの展開図を採用したとしても、同じような限界に引っかかってしまいます。
長い側には4面分、短い側には3面分が必要だからです。
工作用紙についている目盛は30cm×40cmまであります。
ということは、どうやら1面は、10cm×10cmしか取れなさそうです。
そこで次にT君が、工作用紙の余白(目盛以外の部分)を使うことを考えました。(つまり工作用紙を裏返して使う)
はかってみると、31cm×44cmまで可能だということが分かりました。
44cmのところから、4面分については11cm取れそうです。ただ残念なことに、今度は31cmの方で3面取らないといけないので、11cm×3は不可能です。結局、10.3cm四方が限界となります。
一方、H君が、立方体の1面を作るのに、きれいな一面を使わずに、切れ端をつなぎ合わせることを思いつきました。そして、つながっている展開図ではなくて、ただ1面ずつ、切って、貼っていくことで、作業を始めました。
実際それで作ってくれたのが、1辺15cmの立方体でした。
と同時に、T君が、
「工作用紙の全体の面積をはかって、それを6で割れば、1面の最大の面積が分かる」
と言って、計算して確かめてくれました。
「44cm×31cm=1364cm2
1364÷6≒227.3
15×15=225なので、ほぼ15cmを1辺にする立方体なら作れる」
と。
これで、10cmから15cmへと記録が伸びました。
最初の展開図という固定観念を捨てて、切り貼りできるとしたことが、今回のミソでした。
さて、まだ続きがありました。
Y君が立方体の定義を「面で構成されたものではなくて、辺で構成されたもの」というようにとらえ直し、工作用紙を短冊状に切ることを提案しました。
「短冊を細くすればするほど、それつないで、つないですれば、1辺がものすごく長い立方体ができる」
と。
実際の物を、教室では作れませんでしたが、思考実験としてはY君のアイデアに従えば、教室に入りきらないくらい大きな立方体ができたことになります。
というわけで、記録は「はかりきれない」ということになりました(笑)。
Y君はまた、別のアイデアを次々と出してくれました。
「厚みをスライスして、紙を二枚、三枚にする」
「一度紙を水で溶かして、和紙のように薄い紙に作り直したら、小さな穴ができる分、一面が広くできる」
すごいなと思いました。小学生の手にはその道具がないので試せないのですが、逆に道具があれば可能な方法なので、アリだと思いました。(もし工場で金属の板を取り扱うような話であれば、なおさら現実味を帯びてきます)
また、先のH君の「切って貼る」というアイデアの極限を、Y君の「溶かす」だと思うこともできます。
以上、水平思考と計算を混ぜた問題でした。
残りの時間は、「川渡しの問題」を考えました。
おじいさんが、おばあさんとすずめをつれて、米(せんたくのり)を持って、川にさしかかった。
川には小さな渡し船がある。ただしこの船には、おじいさんともう一つしか積み荷を乗せられない。(船を動かせるのはおじいさんだけ)
おじいさんがいないと、おばあさんはすずめをいじめてしまい、すずめは米を食べてしまう。(おじいさんがいる瞬間は大丈夫)
さて、どうやったら、全部がもとのままで、向こう岸へ渡ることができるだろうか?
(何回船を行き来させればいいか?)
有名な型のとんち問題です。必然性を追いかけると必ず解けます。これも盛り上がりを見せて、みんな解けて「やったあ!」となりました。
ただ残念ながら、ここではもう書き切れなくなったので、問題のみの紹介とさせていただきます。