福西です。
Rtaro君が特に漢字を好きなようなので、漢字のなりたちについて詳し目に書かれている辞典を見つけてきました。
『漢字なりたち辞典』(教育社)
載せる数を絞って、1つ1つの漢字のことが詳しく書かれています。たくさん載っている方がいいという人には物足りないかもしれませんが、二兎追う者は何とやら。小学生にはむしろこっちの方が無味乾燥ではなくて、いいと思います。たとえば、「海」のところを引いてみてください。(おススメなのですが、絶版なのが残念です)
この辞書をRhei君、Rtaro君と、なかよく引き引き、漢字の記事を作ってもらいました。
最初は「館」を、次に「公」について調べました。
「図書館の『館』って、これやったんやな」という素朴な声が聞かれました。
「食」の部分に対して、「図書館では食べたらあかんのにな」というRhei君のつっこみがあり、「ほんとやなあ」と私もうなずきました。
また、「官」の部分は、広い建物をあらわすために、二階建てのそれで表しているようです。「ビルとかにしたら、もっと広かったのにな」と、現代っ子ならではのツッコミがありました。
Rtaro君が指を動かして、何度も画数を数えていました。「16画や!」ということで、別の辞書でも16画のところで引くと、見つかりました。「画数をぴったり当てる」ということを自信の要素にしていました。
次に選んだ「公」には、「公園や!」という声が聞かれました。
「おおやけ」というと、「みんなのもの」です。
「たしかに、公園って、みんなのものやなあ」と、Rhei君。
「ム」の部分は、物を自分の方に引き寄せる腕、を表しているそうです。そうやって、一度独り占めにされたものを、今度は「みんなにどうぞ」と開放しているのが、「八」の部分とのこと。(たしかに開いていますね)
なるほど、と思いました。画数は少ない漢字ですが、奥が深いですね。
お話は、『みょうがやど』(川端誠、クレヨンハウス)を読みました。
私は落語が好きなのですが、絵本化されたシリーズには、文章と絵との、また、本筋とくすぐりとのバランスを欠いているものもたまにあります。一概に全部がいいわけではないので、吟味して選ぶ必要があります。今回選んだのは(私的に)いいと思われる作品です。
茗荷(みょうが)にまつわる話です。まくらで、釈迦の弟子の周利槃特(しゅりはんどく)という人のことが語られます。この人は前世では暗記の達人だったのですが、それを鼻にかけたことの因果で、今生では物忘れのひどい人になってしまったのだと語られます。その槃特さんのお墓のまわりに生えていたのが、みょうがでした。そして、槃特さんが自分の名前を忘れてしまわないように、名前を書いた看板を荷ったことから、「(草かんむりに)名」を「荷う」と書いて、茗荷、という俗説があるそうです。
さて、本編は「茗荷を食べると物忘れをしやすくなる」ということを、本気で悪用しようと考えた宿屋夫婦の話です。客に茗荷料理を食べさせて、あとで「忘れ物(金目の物)」を拝借しようという魂胆です。
全体を思い出すと、どんどん茗荷料理を出して食べさせ、結局、元も子もなくなるあたりは、童話の『ヘンゼルとグレーテル』みたいだなと思いました。
最後の落ちは、なるほどでした。ただし、2年生の生徒たちは、正直に「分からん」と言ってくれて、少し説明がいりました(笑)。