「山びこ通信(2015年度春学期号)」より、下記の記事を転載致します。
『新約ギリシャ語初級』
担当 堀川 宏
先学期から引き続き、土岐建治『新約聖書ギリシア語初歩』(教文館)を教科書にして、受講生2名と一緒に新約聖書のギリシャ語文法を学んでいます。名詞と形容詞、代名詞の学習を無事に終えて、今学期はいよいよ動詞の諸形態の学習に入っています。ギリシャ語は名詞・形容詞も難物ではあるのですが、やはり動詞の活用変化となると一段と難しい、というのが実感です。それでも弛まぬ練習の成果は確実に出ていて、基本的な活用にはずいぶん馴染んできたように思います。
授業で重視しているのは、文法(とりわけ語形変化のシステム)の体系的な理解と、練習問題で出てきた語形を出発点としての個別事例の蓄積です。言語の学習を進めてゆくに際して、単語や表現を場当たり的に覚えてゆくだけでは不十分で、個々の表現を成り立たせる規則を学ぶことで、学習の効率が上がることは間違いありません。しかし一方で、特にギリシャ語のように文法学習として膨大な変化表を覚えなくてはならない場合、そのすべてを一度に覚えようとすることは現実的ではありません。そこで、まずは例文や練習問題で触れた表現を、文法的な特徴に注意した上で、一つ一つ覚えてゆくということを勧めています。そうすることによって変化表を覚えるための足掛かりができ、記憶の助けになるからです。ギリシャ語の学習にはどうしても時間がかかります。今後も急がずに少しずつ、地道な勉強を続けて行って頂ければと思います。
教科書を使っての文法学習は、来学期の始めで一区切りします。その後は文法の復習を兼ねて、新訳聖書の原典(詳細は未定)をゆっくり読み進めてゆく予定です。