『中学・高校数学』C(クラス便り2015年6月)

「山びこ通信(2015年度春学期号)」より、下記の記事を転載致します。

『中学・高校数学』C

担当 吉川 弘晃

 
 
 今年から、中学・高校数学の授業を担当することになりました。今年は、中学1年と3年の生徒さんが1人ずつ受講しているので、それぞれの学校の進度や個人の得手・不得手に応じて、講師が選んだ問題を解いて、答え合わせをするというスタイルを取っています。
 中学数学の内容は、高校数学を学ぶ上での最も重要な基盤になります。最近は大学受験で数学を必須科目として課さないところも出てきたせいか、「自分は文系だから」と早々と理数系科目の勉強を諦めてしまう学生が少なくありません。しかし、高校1年、ましてや中学生が数学を諦めて自分の進路の選択肢を狭めてしまうのは本当に勿体無いことです。さらに、一部の大学が数学を入試に出さないことは、必ずしも、数学を勉強しなくてよいということではありません。例えば、経済学部では微分・積分の発展的な学習をしますが、そのためには中学で一次・二次関数を完璧にする必要があります。大学の他の文系学部でも、文章を読んだり書いたりする課題が大量に出されますが、そこでは「正しい手続きで論理的にものを考える」という数学的能力が非常に重要になってきます。こうした論理的思考は社会でも重要視されているため、民間・公務員を問わず、就職試験でも中学・高校数学は必須科目となっています。
 但し、社会での必要性以上に大切なのは、1単元でも良いので「面白い」という気持ちをもつことです。より多くの問題が解けるようになれば、それだけ数学的な考えが豊かになり、数学も楽しくなってきます。そのためには、問題文を注意深く読み、そこで問われているポイントを考えることが最重要です。言葉を使うという意味では、数学もまた「国語」なのですから。