中学・高校数学B(2015/6/25)(その3)

福西です。

Y君が、学校でした試験の問題を持ってきてくれました。その問題用紙の中に、途中計算が黒々と書かれている箇所がありました。

Y君が言うには、

「ひとまず全体の問題をざっと見てできるところをやってしまってから、また戻ってきて、残りの時間をその一問を解くために全部使った」

とのことでした。結局時間内に解くことはできなかったようですが、それはこんな問題でした。

1-2-3+4-5-6+7-8-9+10-11-12+13-14-15+16-17-18+19-20-21+22-23-24+25-26-27+28-29-30+31-32-33+34-35-36+37-38-39+40-41-42+43-44-45+46-47-48=?

配点が2点しかなかったので、おそらく何かに気付けば、計算の手間を省ける問題なのでしょう。

私もその「何か」をぱっとは思いつけませんでした。

そこで、「すっぱいブドウ」ではないですが、つい私は、Y君にこう言いそうになってしまいました。

「5点とか10点問題ならともかく、2点しかないのは厳しいなあ。だから、この問題は別に手を付けなくてもいいよ」(^^;)と。

ですが、そう言いかけて、はたと、Y君が一つの問題に対して縁を感じたこと、現場で計算に没頭する経験をしたことが、むしろ大事なのだと思い直しました。

Y君は、試験時間の残りを、あたかも時間が止まっているように感じながら、この問題と取っ組み合っていたのでしょう。それは想像に難くないことです。そこで、Y君が「こういう問題が出て解こうとした」と言った時の強い口調を改めて思い出しました。それは「冒険をしてきた」という報告なのだと思いました。

それで、授業でもその問題を取りあげて、Sちゃんとも一緒に三人で考えました。

 

ぱっと見てわかる規則性は、「+、-、-」と符号が3つセットで繰り返していることです。

それで、プラスとマイナスの項に分けて計算することを思いつきましたが、

(1+4+7+10+13+…+43+46)-(2+3+5+6+8+9+…+44+45+47+48)

としても、計算はなかなか大変そうです。

1-2-3

+4-5-6

+7-8-9

+(46-47-48)

と、3つずつに区切っても、

-4-7-10-13-…-49

と、計算量は期待したほど減りません。(これには-3ずつという、等差数列の規則性があるとはいえ、中1で習わない知識を使って解くような問題を学校の先生が出したとも思えません)

なかなか糸口が見えませんでした。

20分ほどあれやこれや考えて、結局、最後の変形の-4-7-10-13-…-49を、自力で計算することになりました。

二度、計算結果が合わなかった後に、生徒二人の出した答は、

-424

でした。

電卓でも(かなり苦労して)確かめました。

結局、手計算は大変な作業でしたが、計算間違いをせずに最後に答が出たことが、Y君には嬉しかったようです。Sちゃんもかなりムキになって(^^)、計算間違いをしないように「…」の省略部分をすべて書き出すなど、用意周到ぶりを見せていました。

果たして、どういう解き方で解く問題だったのか、謎の深まる一問でした。

 

P.S.(別解)

私は以下のように考えました。ただし、これでも計算時間がかかるので、たぶん2点問題として学校の先生が思っていた解き方ではないだろうと思います。

(1-2)-3+(4-5)-6+(7-8)-9+…(46-47)-48

=-1×?-(3+6+9+…+48)

3つずつくくると、そのうち、最初の2項の和は、-1になります。

これを利用すると、「-1が何個あるかを考えること」と、「(3+6+9+…+48)の計算」に帰着します。

3つずつのくくりは、48÷3=16で、16回あります。

それなので、-1は16個。

また、

-(3+6+9+…48)

=-3(1+2+3+…+16)  ←1+2+…+16の和であれば、生徒たちは知っていました。

=-3×(17×8)

=-3×136

=-408

よって、

与式=-16-408=424。

 

いずれにしても、短時間で糸口を見つけて解くには、かなり難しい問題だと思います。

 

他にも、Y君がもう一問「これも解きたかった」と言っていた問題がありました。

3123×7321の1の位はいくらか?

(配点2点)

これについても、私も最適な解き方は思いつけませんでした。

私が提案した解き方は、以下の通りです。

・「1の位が1の数」同士をかけ合わせても、1の位は1のまま不動。

・「1の位が1の数」に7をかけるごとに、

1×7=7、

7×7=49、

9×7=63

と、1の位が7,9,3,7,9,3…と巡回する。

 

【追記2015/6/29】

浅野先生からご指摘があり、書き間違えていました。

3×7=21

も必要で、正しくは、

7,9,3,1と巡回します。

 

以上のことに注意して、

(3×7)123×7(321-123)=(21)123×7198=(1の位が1の数)×7198

を考える。

そして、7を198回かけるということは、(7,9,3)(7,9,3,1)のセットがそのうちに何回できるかということなので、

 

198÷3=66回。

割り切れるということは、

…?

「あ、9、いや違う、 3!」

とY君。

 

【訂正】(授業では下記のように話していたのですが、記事に書く際に勘違いしました)

198÷4=49…2

2余るということは、

…?

「あ、7、いや違う、9!」

とY君。

 

これもまた、かなり手ごわい「2点問題」だなと思いました。(^^;)

学校で答え合わせがあった時に、Y君からまたその解き方を教えてもらおうと思います。