福西です。かなり以前の記録になりますが、記録のために書き残しておきます。
(記憶違いで、日と内容とが前後しているかもしれませんが、ご容赦ください)
2015/2/17
この日は梅が咲いていました。
東風(こち)ふかば においおこせよ うめの花
あるじ なしとて 春をわするな菅原道真
Sちゃんが以前、北野天満宮でもらってきた鉛筆にも、この歌が書かれていました。それでSちゃんが得意そうに、「やっとこの歌が出てきた! 2月になったから、そうかと思ってた」と言いました。
百人一首からは、以下の一首を覚えました。
人はいさ こころも しらず ふるさとは
花ぞむかしの 香ににほひける紀 貫之
残りの時間は、『火よう日のごちそうはひきがえる』を読みました。
2015/2/24
百人一首は、次の歌を暗唱しました。
みかのはら わきてながるる いづみ川
いつ見きとてか 恋しかるらむ藤原兼輔
リズムカルで覚えやすいものにしました。
覚えられた人には、次の俳句も口ずさんでもらいました。
梅一輪 一輪ほどの あたたかさ
嵐雪
先週ちらっとだけ見に行った梅を、また見に行きました。生徒たちは、さっそく「梅一輪一輪ほどのあたたかさ」を言い出してくれました。実際には、一週間の間に、もう十輪ほど咲いていたのですが、素朴に生徒が「それなら、梅十輪やなあ」と言った表現を面白く覚えました。
梅を見に行ったついでに、上のお庭でまた竹馬をしました。前よりも乗れるようになっていました。
2015/3/3
みかきもり えじのたく火の 夜はもえて
ひるはきえつつ ものをこそおもへ大中臣能宣
上の句で「夜」ときて、下の句で「昼」とくるので、初心者には連想しやすく、取りやすい札です。
『火よう日のごちそうはひきがえる』を読み、残すところあと10ページほどとなりました。
「じゃあ、次回」と区切ると、「えーっ?」と言われてしまいました。
俳句作りがしたいという生徒がいたので、それをしたためる印象を仕入れに、教室の外に出ました。
ひとしきり見回した後、「今日は夕日がまだ沈まへんなあ」と言いながら、夕日と追いかけっこをするように、生徒たちと坂を降りていきました。そして、教室に戻ってきてから、俳句を作りました。
以前まだ紹介できていなかった、E君とA君の俳句を「こちら」と「こちら」にまとめました。
2015/3/10
百(もも)しきや ふるきのきばの しのぶにも
なほあまりある むかしなりけり順徳院
百番目の歌です。しのぶというのは、苔玉のことで、軒に吊るして鑑賞します。昔からある風情だというのを、この歌のおかげで偲ぶことができます。
これで、春学期から授業で取り上げた和歌は、20首あまりとなりました。
山びこ通信にも書きましたが、和歌を心のふるさと、よりどころとして、いつかまた思い出してほしいと思います。
この日、『火よう日のごちそうはひきがえる』を了読しました。
ミミズクのジョージをキツネから助けたウォートンは、ジョージの口から、「ネズの実」という言葉が洩れたことに驚きます。そこでウォートンは、ジョージの残した置手紙を見ずに去ってしまったことを知ります。ジョージが火曜日になる前からすでにウォートンを食べるつもりのなかったことが周知されます。そのようなどんでん返しの展開を、生徒たちはすでに読んで知ってしまっているようでしたが、それとは別物としての、クラスとしての読後感を、この日は一緒に味わうことができました。
後半の時間では、百人一首を2回戦しました。1回目は普通におチラシでして、2回目は趣向を変えて「絵札」を取りました。
Sちゃんが1回目、9枚と大健闘。今までの成果が出て嬉しそうでした。
Rちゃんが一番強く、一方M君が1回目でRちゃんと同点だった分、2回目で競り負けて悔しそうでした。
(1回目、2回目)
Sちゃん(9、7) Rちゃん(10、11) M君(10、8) E君(4、6) A君(1、2)
優勝 Rちゃん
みんなの様子を見ていると、たとえばE君が「むらさめの」を虎視眈々と狙って、それが取れていたり、Sちゃんが得意札の「はるすぎて」を取れていたり、覚えている歌を機敏に取っている姿がだんだんと多く見られるようになってきました。
Rちゃんのお母さんが、帰り際に、「『100首おぼえられたらいいね』と言いながら、お家でもしていたんです」と仰っていました。
実はRちゃんがお引越しをされ、この日が最後の授業でした。それで菅家の「このたびは」の歌ではないですが、クラスの終わりに『Take Me Home, Country Roads』を歌って、はなむけとしました。どうかこれからも元気でいて下さい。