「山びこ通信(2014年度冬学期号)」より、下記の記事を転載致します。
『中学英語』(1年) 『高校英語』(1年)
担当 吉川弘晃
中学1年英語の授業は、生徒さんのご要望に合わせて秋学期から授業方法を変更いたしました。春学期以前は学校の教科書の予習・復習に力を入れていたのですが、秋学期からは、まとまった量の文章を読んでいくという講読の形態になりました。
方法としては、あらかじめ講師が授業で進める分のページをコピーして渡し、生徒さんは次回の授業までに分からない単語を調べてきてもらって授業に望みます。教室では、講師が1段落ずつ文章を音読して、生徒さんがそれを繰り返し、さらに英文を日本語に直します。その上で、講師が単語や文法的な説明を加えていきます。
私がこの授業の中で重視しているのは、音読です。前者については、特に英語を学び始めた中学生にとって特に力を入れなければならない部分だと思います。というのも、英語は他の言語に比べて、綴りと発音に関する規則のパターンが多く、それらを日常的な運用で反映させるためには、正しい方法で一定量の単語に触れねばなりません。毎週、分からない単語を自分で調べ、教室で改めて正しい発音と共に理解するという経験は、生徒さんにとっては大変だと思いますが、その分の配当は少しずつ支払われていくことでしょう。
教材としては、最初はイソップ寓話集から1日1つずつ選んでいました。1つの話につき2、3ページしかないので、細かい文法や単語の説明をしながらでも80分の授業の中で、読了できました。冬学期からは、「アーサー王伝説」について書かれた子供向けの本を読んでいます。イギリスの歴史的背景にも触れながら、日本の公教育では軽視されがちな神話や伝説を学ぶことの意義を、講師と生徒が共に考えることもこの授業の目的です。
高校1年英語の授業の方は、今まで通りの授業方法を続けております。高校で用いる教科書の文章を生徒さんにノートに写してきてもらい、教室で講師・生徒共に音読、その上で生徒さんが文章を日本語に訳していく、という中学クラスと同じ講読のスタイルです。
ただし、高校クラスの方では音読は言わずもがな、精読に特に力を入れております。巷での多読・速読の流行のせいか、単語ごとの正確な意味や文章同士の関係を考えながら、時間をかけて英語を日本語に直すという方法が軽視されているように見えるからです。IT社会で、情報の波に溺れないよう、多く速く読める力は不可欠なのは確かですが、だからこそ、大人になる前に正しく読むことを身につけるべきだと思います。本当の意味で文章を「読む」ことがいかに難しく、骨が折れるかを日々、痛感しているのは、他ならぬ講師自身ですが…。