「山びこ通信(2014年度冬学期号)」より、下記の記事を転載致します。
『中学数学』A
担当 福西亮馬
中学生のクラスでは、最近では、主に学校で習った直近の単元の復習をしています。今は一年生、二年生とも幾何の内容です。問題を易し目に設定し、「できる」という自信を持つことから始めています。その自信によって、学校の授業での吸収力が上がることを、また家でも自主勉強の励みにしてくれることを望んでいます。
そして、余力がある時には、整数論や数え上げと呼ばれる分野から一題出し、「予備知識なしで(いわゆる素手で)帰納的に考えて法則を見つける」ということもしています。それを「面白い」と言ってくれたり、解けた時に「にっこり」としてくれる手ごたえがあると、私もつい嬉しくなってきます。
数学では、よく前提を疑うことがなされますが、そのことは、授業で私が生徒と向き合う時にも考えなければならない問題だと思います。前提とは色眼鏡のことです。私はクラスでは、生徒を数学(小学生なら算数)という一面でしかお手伝いすることができません。けれども、「数学をしているAさん」というのは、もちろんAさんが私にその時間見せている一面にすぎません。家に帰れば「別のことをしているAさん」が、そのAさんであり、Aさん自体は、もっと「複雑多様」な何かであるわけです。それがむしろ当たり前のことだと思います。けれども、授業という「特殊環境」の下では、しばしばその当たり前を忘れてしまいがちです。よって私は、「様々な一面を持っているAさんが、この時間においては、数学という面を選択して取り組んでいるのだ」という目線に立つ必要があります。その上で、数学という一面を通して、「Aさん」なる全体をできるだけ応援したいと思っています。