『かず』(1〜2年A・B) 『かず』(5〜6年) (クラス便り2015年2月)

「山びこ通信(2014年度冬学期号)」より、下記の記事を転載致します。

『かず』(1〜2年A・B) 『かず』(5〜6年)

担当 福西亮馬

 1~2年生のクラスでは、「足し算やかけ算を使ったパズル」、「ブロック分け」、「間違いさがし」、「迷路」をよくしました。数字を使った取り組みは、今は学校でしている勉強の確認程度にとどめています。山の学校では、ドリルは先取りではなくて復習のためにしています。それなので、1~2年生にとっては、もう少し復習する内容が増えてきたら、ドリルを始めようと考えています。先取りのドリルは、下手をすると×をつけて委縮させる機会が増えてしまいます。一方、復習であれば、○をつける機会が多く、ひいては「ほめる」ことが増えます。ほめるチャンスが多ければ、算数は好きになっていきます。
 
 これまでの授業では、もっぱら集中力と粘り強さを課す取り組みをしてきました。そして何より、「頭をひねる」ということが「面白い」という経験を積んで、考えることが苦にならないことを応援しています。それは、特にグループでルールのあるゲームやパズルをする時ですが、私なりの目で、「この生徒は、このルールにしたならば、どういう点に着目して、どういうことを考えるのか」という、「生の思考回路」を見ています。そして光る部分があれば、それを称揚しています。そのために、ルールの違うものを持って来たり、切り口を変えたりして取り組んでいます。

 生徒は複数ですが、生徒と私との関係は一対一です。その一対一の思い出が、その生徒の「算数といえば…」というイメージとなって浮かんできてくれることを願っています。それを元手に、今後の算数に取り組んでほしいと考えています。

 

 5~6年生のクラスでは、低学年のドリルから積み上げの復習をしてきました。前号の山びこ通信にも書きましたが、その取り組みを「マイル通帳」というもので応援しています。この通帳は工夫の一例であって、本当は何であっても構いません。自分で「やろう」という気持ちを起こさせるものであればいいわけです。「上手に自分を追い込む」ことに慣れてほしいと思います。

 ドリル以外の時間では、たとえば、「自分で法則を見つける」ということを考えました。「Aちゃんは、6人の男の子に6種類のチョコレートを配りたい。どのような配り方があるか?」という問題です。こういう時は、いきなり腕組みをし始めるのではなくて、まず鉛筆を持って手を動かすことです。そして問題を単純にすることが大事です。まずは4人ぐらいでやってみます。そしてそれでもピンと来なければ、「1人に1種類のチョコレートの配り方は?」としてやってみます。その答は1通りです。授業では、これをヒントとしました。

 さて、6人のうち、チョコレートを配る1人目の選び方は、6通りあります。「6人いるから6通り」というのが、生徒たちの挙げてくれた理由です。その通りです。これが先のヒントの「応用」です。では、その1人目を固定して、2人目の選び方は、何通りあるでしょうか? 分かった人から順に、「5通り!」と返ってきました。「なぜ?」と聞くと、「さっき1人減ったから」と。すなわちここまでで、6×5通りです。このようにして考えれば、おのずと法則は見つけられます。中には「飛び上がる」ように喜ぶ生徒も見られました。

 その次には、「7つの目(1~7)をふさぐ、ふさぎ方は何通りあるか?(ただしふさぐ手は違いがないものとする)」という問題を考えました。この場合は、1、2とふさいでも、2、1とふさいでも同じことになるので、先の問題をもとにしながら、さらにその中の重複を省かなければなりません。こうした問題は、実際には高校で「順列」や「組合わせ」という名前で習います。しかし理屈は「かけ算」と「割り算」を駆使するものであり、小学生でも大いに分かるところがあります。彼らが「飛び上がる」ように喜ぶ時期に、それをしてみました。

 このような「論理的思考」ができるようになるまでの間、1~2年生たちには、感覚から徐々に論理の世界へと移ってくるための下ごしらえをしてもらっているとも言えます。