福西です。今週は論理パズルをしました。
問題
A、B、Cの3人が釣りをしたところ、次の結果で魚が釣れました。
1) それぞれ、最低1匹は釣れた
2) 3人合計すると9匹釣れた
3) 釣った数はそれぞれ異なるさて、2匹以上釣った人は真実を述べますが、1匹しか釣れなかった人はくやしまぎれにウソをつきます。そしてこのように話しています。
A「CはBよりたくさん釣りました」
B「私はCの2倍以上釣りました」
C「私はAの3倍以上釣りました」さて、だれが何匹釣ったのでしょう?
Ku君の答案
うそつきは一人しかいない。なぜかと言うと、みんなばらばらでないとだめだから。(これを踏まえて、以下の通り)
Aがうそつきの場合
Aは「CはBよりたくさんつりました。」といっているけど、(Aは)うそつきなので、うそになる。Bは「私はAより3倍以上つりました。」といっているのもしんじつになる。ということは、Aが1ぴき、Cが3びきになるけどBが2倍以上いけないから、ごうけい9ひきをこえるから、むじゅん。
Bがうそつきの場合
Bは「私はCの2倍以上つりました。」といっているけど(仮定より)うそなので(Bの釣った数は)Cより下になる(注:「2倍以下」の書き間違い)。Aは「CはBよりたくさんつりました」といっているのは(うそつきは1人だけで、それはBに決定しているので)しんじつだし、さっきのBのいけんのはんたいのことも、はまっている(矛盾しない)ので、OK.。Cは、「私はAの3倍以上つりました。」といっているのもしんじつ。ということはBは1ぴき、Aが2ひき、CがAより3倍以上なので6ぴきになる(6匹以上だが、ありえるのは6匹の時だけ)。ということは全部で9ひきなのでOK!!
Cがうそつきの場合
Cは「私はAの3倍以上つりました。」といっているけど、(仮定で)うそつきなのでうそ。Bは「私はAの2倍以上つりました」は、しんじつになる。Aは「CはBよりたくさんつりました」といっているけど、うそつきは1ぴき以上ではないので、(Cがうそつきという仮定は)むじゅんになる。
うそ(つき)がいない場合
Aは「CはBよりたくさんつった」といっているのはしんじつ。BよりCのほうが多いということになる。Bは「私はCの2倍以上」といっているけど、Aの意見とかぶる(競合する)のでうそがいない場合は、ありえない。
<講師のコメント>
この答を書き終えた時、いつの間にかそれは、Ku君のこれまで書いたうちで最も長い答案になっていました。きっと会心の思いでできたのではないかと思います。Ku君は、問題の条件を考え合わせた時に、うそつきが一人しか存在しないことに注目して、その「うそつきは誰か」で分類しています。特に最後の「うそつきがいない」可能性もつぶしており、そこで使っている論拠が無駄なくスムーズに示せていることが、大変評価すべき点です。文句無しに良い答案です。
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Ke君の答案
みんな(釣った数が)ことなるので1匹でウソをつく人は一人です。
もし、AがウソつきだったらBはCよりつらないといけない。つまり(その点では)できるので、Aがウソつきかもしれない。(後でこの可能性を棄却する)
もし、BがウソつきだったらCはBよりつらないといけない。(その点では)Bがウソだったら『むじゅん』しないので、Bがウソつきかもしれない。
もし、CがウソつきだったらAは本当なのに(Aの発言は「CはBよりたくさん釣りました」なのに)、Cが1匹なので『むじゅん』するので、Cはウソつきじゃない。
もしAがウソつきだったらAは1匹で、Cは最低3匹、Bは最低6匹。でも(この時点で合計が)10匹になってしまうので、Aはウソつきじゃない。つまりBがウソつきだが、(その場合実際に)A・B・Cは何匹つったのかを、調べよう。
Bは1匹。
Aは1匹じゃないので、2匹とすると、CはAの最低3倍として6匹とする。つまりCは3倍なのだ。これでAは2匹かもしれない。
もしAが3匹とするとCは最低9匹なのに(合計が)14匹になってしまうので、Aは3匹ではない。Aは3匹ではなく、最低でも3倍なので3以上の数じゃない(3匹がだめならそれ以上の可能性もない)。つまりA2匹、B1匹、C6匹となる。
もし全員本当だったらAが、BよりCがつったといっているのに、Cの2倍がBというのも本当だから『むじゅん』し、全員(は)本当じゃない。
<講師のコメント>
Ke君も、Ku君とたまたま同じように、「うそつきは誰か」で分類してくれました。最初Ke君のステップでは、うそつきと仮定した者の「うそ発言」が全体で矛盾しないかどうかを考え、「AとBの場合はありえるので、AとBがうそつきかもしれない」と、緩い条件でまず絞っています。そして、次に実際に釣った数を吟味し、合計9匹があえりえるかどうかで、Aがうそつきの場合を棄却しています。多少手間がかかっても確実に、段階的に追っている点が、Ke君らしいです。そのように自分のやり方を信じて突き進むところが頼もしいです。そしてKu君同様、うそつきがいない場合もちゃんと考慮してから棄却しています。
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Ta君の答案
ルール:うそつきは1人、トータル9、みんなちがう
まず、AとCの関係で、3倍以上と書いてあるので、Cが真実なら、Aが1匹なら、Aはウソつきで、Bが多く釣っていることになります(2倍以上)。すると、Cが最低でも3匹、Bが最低6匹となります。ですが、トータル9というルールに反するので、Aがウソつきということはありえません。なので、Aが1匹でもありません。
次に、Aが2匹を釣ったと考えます。そうすると、Cが6匹となり、Aの証言から、「BよりCの方が多くつった」と言っているので、Cが1匹ということはなく、Cが真実となります(Cの証言「私はAの3倍以上釣りました」は正しい)。すると、Bが2倍釣ったということ(Bの証言「私はCの2倍以上釣りました」)はトータル9にいはんするので、Bの証言はウソです。なので、Bは1匹となります。
A.(答)A、2匹、B、1匹、C、6匹
(ちなみに、Cは9-3で計算。6匹は「Aの3倍」というCの真実証言とも合致するのでこれで良い)
Aが3匹以上というのは、Aが最低の場合は3匹で、Cが3倍で9匹はありえません。C(の言うこと)がうそでも、Aの証言で、Bより多くつったと言うので、本当となってしまうからです。
<講師のコメント>
Ta君は、他の二人と違い、「Aの釣った数」で分類してくれました。Aが1匹の場合、2匹の場合、3匹以上の場合を考え、1匹(つまりAがうそつき)と3匹以上の場合はありえないので、Aは2匹であることを結論付けています。最初の「まず、AとCの関係で…」という表現も切れ味抜群です。豊富な語彙と言い回しの巧みさは、さすが年長です。そして何より、Aは2匹しかありえない→その時のBは1匹しかありえない→Cは考えずとも、9匹からAとBの3匹を引けば求まる、としているのが賢いです。
今回は特に集中力の冴えが見られ、どの答案を見渡しても、しっかりと良くできていました。また次回の力作を期待しています。
このエントリーは毎回楽しみにしています。今回、私は紙を使わずに挑戦し、答え合わせをしてみました。すると、Ku君が「うそつきが一人もいない」可能性も考慮に入れて論を展開していることにびっくり。私にはそんな余裕はなく、ただ、答えが出たからいいや、としていた横着な態度でした(苦笑)。それにしても、どの解答も自分の頭を十分使って議論を進めていますね。おみごとです。