福西です。
初回の授業についての報告です。前学期から引き続き、論理パズルをしています。今回は、次のような問題をしました。
僧侶、魔法使い、戦士の三人が、深い洞窟を探索しています。途中、夜になりました。そこでそれぞれ6時間睡眠をとるために、2時間交代で一人ずつ見張りを立てることにし、その順番をあみだくじで決めることにしました。
A B C(くじのスタート)
|||
<紙で隠された部分>
|||
123(見張りの順番)そして3人は次のように発言しています。
僧侶 私はくじのスタートはBだった。
魔法使い 戦士はくじのスタートはAだった。
戦士 私は見張りは2番目ではなかった。さて、このうち正直は一人だけで、他の二人は必ずうそをついています。そして正直者はくじのスタートから真下にある結果(見張りの順番)になり、うそつきは必ず真下の結果ではありません(たとえばAでスタートしたら、結果は1番目ではなく、2番か3番です)。
さて、3人はどのような順番で見張りに立ったでしょうか?
「仮定(場合その1)」
「仮定にもとづいたときの結果」
「矛盾の有無」
「矛盾の理由」
「仮定(場合その2)」
以下同文
…
最初は書き方が分からずに途方にくれるかなと思って見ていたのですが、Ku君もKe君もさすがに何を書けばいいかが分かっているので、手慣れたものでした。
この中で、最初の仮定を立てる段階が、一番広い視野が必要で、かつ重要です。それ以下の部分は仮定と問題のルールから導かれるので、ある意味自動的な計算に近い作業です。
また仮定は、場合分けという意味でも重要です。この場合分けが完全であることが、答の確実さと等価です。
今回の問題では、たとえば「うそつきは誰か?」で仮定を立てることができます。それは一通りではなく、
1) A からスタートした者
2) Bからスタートした者
3) Cからスタートした者
としてもいいですし、
1)1番の者
2)2番の者
3)3番の者
でもできます。あるいは、
1)僧侶
2)魔法使い
3)戦士
としても、どれも同じ結論にたどり着くことができます。そこが面白いところです。ちなみにKe君とKu君とも最後の「僧侶、魔法使い、戦士の誰がうそつきか」で場合わけして解いていました。以前なら、丸1時間かかるところを、今では15分で解けていました。
その後で、ダメ押しでもう1種類の方法(仮定の立て方)でやっても解けることを確認してもらいました。(今学期からは、複数の解き方で解けることに重点を置きたいと考えています。答案の記述の負担を減らしたのは、実はそのためでもあります)
さて、授業が終わって、久々なので帰りがけに推理クイズを一問しました。
世界的に有名な囲碁の名人が2人が、5試合して、2人とも同じ勝ち数、負け数も同じでした。引き分けはありませんでした。どうしたら、こういうことがありえるでしょうか?
囲碁は、将棋でもいいですか?──はい、チェスでもオセロでもいいです。
5回は、3回でもいいですか?──はい。
1回でも可能ですか?──はい。
とにかく奇数なら?──はい。偶数でももちろん可能です。
時間切れで、次の日に持ち越した試合がありましたか?──いいえ、その日に決まりました。
囲碁の試合を4回して、残り1回は別の試合ですか?──はい!(ほとんど正解です。)
あ、わかった!(「いいえ」という返事を期待して)二人は同じ場所で試合をしていましたか?──ずばり、いいえ!
授業の克明なレポートを有り難うございます。推理クイズもアハ効果を覚えました。体はもちろん、頭もストレッチが必要だと個人的に思いました(笑)。