福西です。先の勉強は演繹的でしたが、この日は息抜きとして、次のような帰納的な問題を考えました。
「98角形の頂点を結んでできる線分は何本あるか?」(98角形の辺も含む)
数え上げの問題です。たまにこの手の問題を出すと、二人とも解けた時に「面白い」という感想を述べてくれるので、出し甲斐があります。
Y君はまず問題を簡単にするところから始めていました。
すなわち3角形から出発して以下のように調べていきました。
(角数,本数) → Y君が見つけた法則
(3 , 3) → 3+3=6(↓これが次の本数になる)
(4 , 6) → 4+6=10
(5 , 10) → 5+10=15
(6 , 15) → 6+15=21
(7 , 21) → 7+21=28
と調べていったところ、角数+本数をそのまま足せば、次の本数になる(あるいは本数が3、4、5、6…と増えている)ことに気づきました。次の8角形は「28のはず」と踏んで調べたところ、確かにその通りでした。
「よっしゃ!」
とY君。そこから電卓を使って、98角形まで調べました。
大事なのは、
「このやり方だと時間はかかるかもしれないが、実直にたどっていけば、必ず、正解にたどり着ける!」
という、Y君の中から湧いてきた自信、それが垣間見られたことです。
まるで、砂糖のありかを見つけた蟻が、一度つけた道を何度も往復するかのように、Y君は「見えた」その道を一途にたどっていました。
一方のRちゃんは、次のような見方をしていました。
98個の点の中で、まず1点を固定する。対角線を引く相手の点は、(自分の両脇と、自分自身の計3個を除いた)95個。
そうして最初に固定した点は、どれも平等なので、98個の点について同じように考える。
つまり、
95×98。
そして最後に、98角形の辺である98本を足す、という方法を取っていました。
ただし、ここで問題となったのが、「重複」です。
Rちゃんは4角形にその計算を当てはめてみたところ、
(4-3)×4+4=8
となり、実際の本数である4とは、異なっていました。
そこで、Rちゃんは「同じ線がかぶっている」ということに気づきました。
さて、どうすればその重複を取り除けるのでしょうか?
というところを、さらに時間をかけて、突き詰めてもらいました。
最終的に、
「÷2」
ということに、Rちゃんは気づきました。
気が付けば「なーんだ!」という、そのことを実感できること、そのことがむしろ難しい!!
Rちゃんは嬉しそうに、自分で作った式の意味をかみしめていました。
このように、二人それぞれ違ったアプローチで法則性を見つけ出していました。そして「せーの」で答合わせをしたところ、あいにく最初は、1だけ数が違っていました。
けれども、「あれ?」となったところを少し修正し、(どちらも「やり方はあっている」という自信があったので、単なる計算間違いだと認識していました)、とうとう
4753本
と出ました。おめでとう!
また、Y君が電卓で一生懸命頑張っている間、先に答(法則)を見つけたRちゃんには、さらに線を三角形に拡張した問題でも考えてもらいました。
「98角形の頂点を結んでできる三角形はいくつあるか?」
これも、Rちゃんは頑張って最後まで考え切ることができました。
書くと、次のようになりました。
まず、三角形の1辺を選び、それを固定して考えます。その1辺の作り方は、先の結果と「同じ」です。
つまり、
95×98÷2+98。
そして、辺を「一枚の鏡」のように思って、そこから光を出して焦点のように当たる点、それが三角形の第3点目です。その第3点の選び方は、辺(鏡)を作るために使った2点を除いて、96個あります。
つまり、
((95×98÷2+98))×96。
次に、2点を結んでできる線の場合には2回かぶっていたのと同様、3点を結んでできる3角形の場合には、3回かぶっていることになります。なので、「÷3」の必要が出てきます。
よって、
((95×98÷2+98))×96÷3。
それで、
152,096
という正解を得ていました。
先に考えた、2点を結ぶ線の場合よりもはるかに多いことが分かりました。Y君も、予想と違っていたことに、「おお」となっていました。
(補足:Rちゃんの上式の95×98÷2+98の部分は、98×97÷2とも表せます。それで式を整理すると、98×97×96÷3÷2÷1という法則性が得られます)
後半の時間は30分でしたが、密度は濃かったように思います。