中学数学A(2015/01/21)(その2)

福西です。先の勉強は演繹的でしたが、この日は息抜きとして、次のような帰納的な問題を考えました。

「98角形の頂点を結んでできる線分は何本あるか?」(98角形の辺も含む)


数え上げの問題です。たまにこの手の問題を出すと、二人とも解けた時に「面白い」という感想を述べてくれるので、出し甲斐があります。

98poly

Y君はまず問題を簡単にするところから始めていました。

すなわち3角形から出発して以下のように調べていきました。

(角数,本数) → Y君が見つけた法則

(3 , 3)  → 3+3=6(↓これが次の本数になる)

(4 , 6)  → 4+6=10

(5 , 10) → 5+10=15

(6 , 15) → 6+15=21

(7 , 21) → 7+21=28

と調べていったところ、角数+本数をそのまま足せば、次の本数になる(あるいは本数が3、4、5、6…と増えている)ことに気づきました。次の8角形は「28のはず」と踏んで調べたところ、確かにその通りでした。

「よっしゃ!」

とY君。そこから電卓を使って、98角形まで調べました。

大事なのは、

「このやり方だと時間はかかるかもしれないが、実直にたどっていけば、必ず、正解にたどり着ける!」

という、Y君の中から湧いてきた自信、それが垣間見られたことです。

まるで、砂糖のありかを見つけた蟻が、一度つけた道を何度も往復するかのように、Y君は「見えた」その道を一途にたどっていました。

 

一方のRちゃんは、次のような見方をしていました。

98個の点の中で、まず1点を固定する。対角線を引く相手の点は、(自分の両脇と、自分自身の計3個を除いた)95個。

そうして最初に固定した点は、どれも平等なので、98個の点について同じように考える。

つまり、

95×98。

そして最後に、98角形の辺である98本を足す、という方法を取っていました。

ただし、ここで問題となったのが、「重複」です。

Rちゃんは4角形にその計算を当てはめてみたところ、

(4-3)×4+4=8

となり、実際の本数である4とは、異なっていました。

そこで、Rちゃんは「同じ線がかぶっている」ということに気づきました。

さて、どうすればその重複を取り除けるのでしょうか?

というところを、さらに時間をかけて、突き詰めてもらいました。

最終的に、

「÷2」

ということに、Rちゃんは気づきました。

気が付けば「なーんだ!」という、そのことを実感できること、そのことがむしろ難しい!!

Rちゃんは嬉しそうに、自分で作った式の意味をかみしめていました。

 

このように、二人それぞれ違ったアプローチで法則性を見つけ出していました。そして「せーの」で答合わせをしたところ、あいにく最初は、1だけ数が違っていました。

けれども、「あれ?」となったところを少し修正し、(どちらも「やり方はあっている」という自信があったので、単なる計算間違いだと認識していました)、とうとう

4753本

と出ました。おめでとう!

 

また、Y君が電卓で一生懸命頑張っている間、先に答(法則)を見つけたRちゃんには、さらに線を三角形に拡張した問題でも考えてもらいました。

「98角形の頂点を結んでできる三角形はいくつあるか?」

これも、Rちゃんは頑張って最後まで考え切ることができました。

書くと、次のようになりました。

まず、三角形の1辺を選び、それを固定して考えます。その1辺の作り方は、先の結果と「同じ」です。

つまり、

95×98÷2+98。

そして、辺を「一枚の鏡」のように思って、そこから光を出して焦点のように当たる点、それが三角形の第3点目です。その第3点の選び方は、辺(鏡)を作るために使った2点を除いて、96個あります。

つまり、

((95×98÷2+98))×96。

次に、2点を結んでできる線の場合には2回かぶっていたのと同様、3点を結んでできる3角形の場合には、3回かぶっていることになります。なので、「÷3」の必要が出てきます。

よって、

((95×98÷2+98))×96÷3。

それで、

152,096

という正解を得ていました。

先に考えた、2点を結ぶ線の場合よりもはるかに多いことが分かりました。Y君も、予想と違っていたことに、「おお」となっていました。

(補足:Rちゃんの上式の95×98÷2+98の部分は、98×97÷2とも表せます。それで式を整理すると、98×97×96÷3÷2÷1という法則性が得られます)

後半の時間は30分でしたが、密度は濃かったように思います。