福西です。
2回目は、次の問題をしました。
『廃墟にて』
僧侶、魔法使い、戦士、盗賊の四人が、洞窟の途中にある地下の廃墟で、亡者たちと遭遇しました。ようやくのことで追い払うことができましたが、その後で、誰が一番活躍したかで口論になりました。盗賊 「魔法使いは2番目ではない」
魔法使い「戦士は4番目ではない」自分より活躍した者については(妬んで)うそをつき、自分より活躍していない者については真実を述べます。同点はいませんでした。
さて、活躍した順番はどうなるでしょうか?
せ…戦士 そ…僧侶 ま…魔法使い と…盗賊
仮定 <せ>が2番の場合
矛盾 あり
理由 <せ>が1番ということは(<せ>に対する発言は必ず上位者に対する発言なのでうそになるので)、<ま>のいっている「<せ>は4番ではない」といっていることはうそになる。ということは<せ>は4番にならなければいけないけど、<ま>のこと(=<せ>は4番)と、<せ>のこと(=<せ>は1番)がちがうから矛盾になる。
仮定 <せ>が2番の場合
矛盾 あり
理由 <せ>が2番ということは、<ま>のいっている「<せ>は4番目ではない」ということ(が真実になるために)は、<ま>は1番でないとダメだけど、<と>がいっている「<ま>は2番目ではない」は(<と>が<ま>より下位にあるはずだから)うそになるので、<ま>は2番になる。でも、<せ>が(2番)なので、<ま>と<せ>がかぶるから、矛盾する。
仮定 <せ>が3番の場合
矛盾 なし
理由 <せ>が3番の時、<ま>のいっている「<せ>は4番目ではない」といっているとしたら、<ま>は、2番目(か1番目)になる。そして、<と>のいっている「<ま>は2番目ではない」といっているのは(<と>は<ま>より下位にあるはずなので)うそだから、<ま>は2番目決定。そして<と>は4。<せ>は3。<そ>は1となる。
仮定 <せ>が4番の場合
矛盾 あり
理由 <せ>は4番目の時、(その上位の)<ま>のいっている「<せ>は4番目ではない」といっているのは(真実であるはずなのに)ちがうから矛盾する。
答 活躍した順番は、僧侶、魔法使い、戦士、盗賊だった。
コメント
「なんや、最初思ったのと違って簡単やった」というKu君。「<せ>は4番ではない」など、同じ文章を面倒くさがらずに書いてくれていることが評価ポイントです。論理パズルの場合は、同じ文章を繰り返し使う方が、かえって分かりやすいです。
ちなみにKu君は前回の問題で、無口で誠実だった戦士がお気に入りのようです。それで、戦士について場合分けしてくれました。うそつき破戒僧が1番活躍して、戦士が3番目だったのは不満顔でした(笑)。
Ke君の解答
仮定 もし僧侶が4位のばあい
矛盾 あり
理由 魔法使いと戦士では戦士の方が少ない(順位が低い)ということは、戦士は2位か3位になる。でも、とうぞくが(僧侶4位以外の)1位、2位、3位に入ったとしても全部矛盾点があったので(もともとの仮定が間違っていることになり)、僧侶は4位ではない。
補足:「全部矛盾点」は、Ke君に以下のことを確かめてもらったことを指します。
盗賊が1位の場合
盗賊「魔法使いは2位ではない」は真実。
よって魔法使いは2位。
僧侶4位(仮定より)
よって戦士3位。しかしこれは魔法使いの「戦士は4位ではない」(真実)に矛盾する。
盗賊が2位の場合
盗賊「魔法使いは2位ではない」は、魔法使いが1位の場合はうそをつかないといけないのに真実になってしまう。よって魔法使いは3位か4位。僧侶が4位なので、魔法使いは3位。よって戦士は1位。しかし魔法使いの「戦士は4位ではない」はうそでないといけないのに矛盾する。
盗賊が3位の場合
盗賊「魔法使いは2位ではない」は、魔法使いが1位の場合はうそをつかないといけないのに真実になってしまう。魔法使いが2位の場合は、魔法使い「戦士は4位ではない」が戦士が1位でも4位でも成り立たないのでありえない。よって魔法使いは4位。ということは、戦士は1位か2位になり、魔法使い「戦士は4位ではない」はうそでないといけないのに矛盾する。
*Ke君は、「誰が4番か」で場合分けしてくれましたが、いきなりこの「僧侶が4位の場合」が一番の難所でした。あとはすらすらといきました。
仮定 魔法使いが4位だったら
矛盾 あり
理由 魔法使いは(他が全員上位者なので)ウソをつかないといけないのに、4番ではない(4番は戦士だ)といっているので、魔法使いは4位ではない。
仮定 もし戦士が4位だったら
矛盾 あり
理由 魔法使いは本当のことをいわないといけないのに、戦士に4番ではないとウソをついているから、戦士は4番ではない。
つまり、盗賊が4位(のはず)。
仮定 もし盗賊が4位だったら
矛盾 なし
理由 とうぞくはウソつきなのでまほう使いは2位。戦士は4番ではないので、戦士は3位。そして僧侶が1位。
答 活躍した順番は、僧侶、魔法使い、戦士、盗賊だった。
コメント
先のKu君が「戦士は何番か」で、キャラクターを固定して考えたのに対し、Ke君は「誰が4番か」と、順位を固定してできることを示してくれました。あとKe君は、他の解き方で、4パターンの場合わけを3パターン以下にできないか考えていました。魔法使いが正直か否かで2パターンになりそうに思えたのですが、それでも後の細かい場合わけができて、4パターンになってしまいました。ちなみにKe君は魔法使いが好きなようです。
このクラスの取り組みを見ていると、「かず」のクラスか「ことば」のクラスか、見分けがつきません。もちろん、ほめ言葉として言っています。私の経験に照らすと、学校の国語の授業は「感想」を書くように求められるケースが多かったように思います。そのくせ、先生の教科書には「正解」(黒板に書くべきこと)が朱色で印刷されていたり。このクラスの取り組みで私が重要だと思う点は、自分の考えの筋道を紙に書いて説明している点です。数学の証明問題の訓練につながるでしょう。日本語で書く文章も、そのすべてが「感想」を書くものではありえません。むしろ、数学の証明問題の解答を書くような文章展開が求められるケースが実社会では多い気がします。しかし、その訓練はあまりなされていないように危惧します。