福西です。
今日は「輪」について考察しました。
すると、すぐにU君が「それって、メビウスの輪?」と言いました。そうです、ばれてましたか^^。では、どうなるでしょうか?「同じねじれた輪が二つになる?」「いや、どうかな…?」というわけで実験してもらいました。
結果は…「おお~」(ぜひみなさんもお試しあれ^^)。
この日のU君とK君の発見を以下に整理しましたので、ご覧下さい。(最初に結論から書いています)
U君の発見
メビウスの輪を、幅について2等分、3等分、4等分、5等分、6等分、7等分…に切断する。このとき、2等分以外の何等分の場合でも同じく、幅の広さが違うだけで「半回転(メビウス)の輪」と「2回転の輪」の(からまった)輪になる。2等分だけは、2回転の輪1つだけ現れる。これを3等分以上の特殊な場合と考えれば、何等分というのは関係なく、その偶数奇数も関係ない。
K君の発見
回転数が±0の輪は、普通の輪以外に、いくつも存在する。たとえば、床に置いたとき輪をつぶすと8の字になるもの、四角形になるもの、六角形になるものがある(この床に置く方法だけでも一つの発見です)。これらは左回りに半回転、右回りに半回転を繰り返してトータル左右による回転が0の状態にひねられた輪である。これを幅について真ん中で切ると、切る前の元の形と同じ輪が2つできる。普通の輪は普通の輪が2つに、8の字の輪は8の字の輪が二つに、四角形の輪は四角形の輪が2つ…になる。
K君の予想
回転数±0の輪は、真ん中で切ると元と同じ輪が2つになる。それなら逆に、真ん中で切って元と同じ輪が2つになる輪は、回転数±0の輪であるか? もしそうなら、このことは、ある輪が回転数±0の輪であるかどうかを調べることに使える。
U君の発見・疑問
8の字は、真ん中のひねりをほどくと、三角形の輪と同じになる。つまり確認されている回転数±0の輪は、三角、四角、六角形となる。では、五角形はできるか? もしできるとすれば、回転数±0の輪には、偶数奇数は関係ないのか?(しかし、回転数をキャンセルするためには、偶数である必要があるのでは?)
注:半回転=表裏を裏返す=180度回転
1回転=表→表にねじる=360度回転
メビウスの輪=半回転の輪のことです。
U君は、輪の回転数を半回転(メビウスの輪)に固定し、それを等分する位置を2、3、4…と変化させると、何が分かるかを考察しました。特に苦労したのは、7等分の場合だったようです。結果、1/7のラインを切っていくと、一周目で6/7のラインを通り、2周目で1/7のラインにかえってきて切断が終わりました。そして前に調べたこと、たとえば1/4で切れば3/4を通って1/4にかえってくることと合わせると、何等分しようと両端しか関係がないことが分かったのです。それゆえに3等分以上では、何等分でも同じ輪しかできない、と。これは実に大手柄です。
私は切る位置を変えると(2等分と3等分がそうであるように)結果が変わると予想していたので、まさに予想を裏切られました。やはりやってみてわかるものですね。
U君はこのあと、回転数を2、3・・・と増やして考察しようとしたところで時間がきました。(どうやらこれは奇数偶数と深い関係がありそうなのですが…。でも紙のひねりがこんがらがって、容易に見通せそうにないです)
一方、K君は、2等分ということは固定し(最初は色々試していました)、途中でU君が見つけた「8の字を切ると8の字が2つになること」をテーマに取り上げました。
(8の字の輪。色つきの表面からスタートすれば、色つきの表面だけを通って一周できます(逆に裏の白い面は白い面だけで一周できる)。これは表と裏が区別できる、という、普通の丸い輪と同じ性質です)
K君は、U君とは逆の発想で、回転数を減らしていきました。そして回転数±0の輪について考察しました。
(平面につぶすと、四角、三角になる回転数±0の輪)
切ると、元の形と同じ輪が2つつながって出てきます。
さらに、回転数0の六角形の輪を切ると、六角形が2つになることを、U君が確かめてくれました。
=
そして、8の字が真ん中のひねりをほどくと、三角形と同じだということもU君がアドバイス。これによって「奇数角形でも回転数0の輪があるのか?」という新たな疑問が生じました。
<おわりに>
今回は、1回転=360度という以外、予備知識を必要としないところで、純粋に考えることを楽しみました。楽しむといっても、最初は正直あまり楽しくなかったはずです。というのも、独自の着眼点が見つかるまでの時間は、ずっと試行錯誤で、「何がしたいんだろ、ぼくは…」ときっと思っていたはずだからです(でもそれが研究です!)。
#私もその先がどうなるかを全く知らずに一緒に考えました(それなのでもちろん間違いが含まれているかもしれません^^)。ほとんどアドリブでした。
そして30分ほど過ぎてから、「あ、これを考えると面白いかも…」という一つの糸口が見つかると、あとはそこから色々な疑問がつながっていったように思います。「何について」考えれば面白い結果が得られるか? 独自の研究課題を見つけることは、問題を解くのとは別の思考回路を使います。そしてそれを許すには、大いに試行錯誤の時間が必要です。
(試行錯誤の山)
そして、ついに何らかの発見があったことで、二人にはその過程が「面白い」と感じてもらえた様子でした。発見は一つでも十分すぎるほどです。それを、K君が「今日はいろんな発見があったなあ」と感想をもらしてくれたのが、何よりの収穫でした。また最後にU君が回転数±0の輪について、五角形がありえるか? という問題を提出してくれたことにも、意義がありました。それを私も含め三人の宿題にして帰りました。
問題の三角形の輪。これがありえるということは、五角形もありえるのでは…?(あるいは、三角形の輪と思っているものが、もしかして間違っている??)
次回は今日分かったことを、レポートにまとめてもらって、そこからさらに新しい疑問を発掘してもらおうと考えています。
タイムマシンがあれば!私も小学校時代にこんな授業に参加したかった!大人ならみんなそう思うのではないでしょうか(^^)
もしかすると、亮馬先生が「自分が小学生だったらこういう時間を過ごしたい」という気持ちをいつも持って子どもたちに接してくださるので、こういう授業になるのですね(笑)。それは、亮馬先生に限らず、山の学校のどの先生についても言えることだと私は思います。そして、そのことを大事なことだと思っています。