福西です。
1/25の記録(その1)です。
先週、U君が「『メビウスの輪』の立体版ってあるの?」という、ずばりの質問があったので、この日はそれを実際作ってみることにしました。
(この日は、「4次元だから…」とか「4次元ならそれができる…」とかいう日常耳慣れない言葉が飛び交いました^^)
まず、筒を用意します。そして筒の中に筒を通して、最後に筒の内側と外側とを貼り付ければ完成。でも、3次元の世界だと、筒の中には筒は通せない(壁がぶつかる)ので、そこは「4次元を通って」という解釈で、本当は存在しない穴を開けます。
筒の中に筒を通します(この穴は、四次元を通ることを意味します)。そして最後に上で筒の縁を裏返して、内側(白)と外側(紫)とをはり合わせれば、壷が完成。長靴みたいですね。
さて、ここからがマジック。この壷をメビウスの輪の時と同じように、壷の容器の部分を、真っ二つにじょきじょき切っていきます。するとどうなるでしょうか…?
「普通の紙に戻るんとちがう?」「いやきっとこれと同じ壷が二つできるんや」「そうか! きっとそうやな」
さてさて…あれれ? そうこうするうちに、何やら2つの破片が出てきましたが、これを丁寧に広げてみると…。
「おお~!」「これって、どっちもメビウスの輪や!」
二人とも心を動かされたようです。さっそく、二人にも作ってもらいました。(紙だと破れやすいので、材質を変えてみました)
K君は傘入れのビニールで作成。
「先を、引っ張り出して…」「裏返してとめる…と。これ透明やから分かりやすいぞ」と、どうやら気に入ってくれたようです(^^)
U君は、すべり止めマットで。
「ここらへんに、穴を開けて…」「わあ、手が吸い込まれる~」
「持ってるで」「あ! ありがとう」
K君の『クラインの壷』完成。「サイコロを中でころがしてみよう」
U君のも完成。それぞれで実験。
さてサイコロを使って確認したところ、サイコロは最初の壷の入り口を「外側」(白い面でくるんだ穴)から入って、最後に壷の入り口の「内側」(紫の面でくるんだ袋小路)」に出てきました。場所的には同じスタート地点に戻ってきたわけですが、その時、世界の表と裏が違います(これがポイントです)。
このことは、実はメビウスの輪でも起こっていて、表側のスタート地点から出発して一周してくるとスタート地点の裏側に来るのと同じ現象だ、という説明をしました。
「そうか。だってメビウスの輪も、作るときに色の違う面をはり合わせてるもんなあ。これ(壷)だってそうだったし。入り口と出口を裏返してはってたから、同じことが起こったんや」と、口々に言うK君とU君。二人の頭の中で、何やらぴかっと「見えた」ようです。
#ちなみに『幾何学』というのは、「それが『何』であるかを『幾』(み)る学問」のことです。(また「『それ』が分かった!」時の喜びを「形相悦」というそうで、K君とU君の味わったのもまさにそれだったでしょう)
この壷(クラインの壷といいます)を切ると、メビウスの輪が2つできたということは、逆に平べったいメビウスの輪を重ねることで膨らませ、立体的にすると、壷ができあがる、と言うわけです。つまりこれがメビウスの輪の立体版である、と確認できました。
二人が作っている頃、私はみかんの網で…うーん、しょぼいできです^^;
話の内容とは関係ないのですが、このエントリーを読み、私は小学校二年の時のことを思い出しました。
鴨川に遠足に行った際、担任の先生が「この川の幅はどれくらいあるかわかる?図をかくとわかるよ。」と言われ、川側の地面の上に図面をかきながら「相似」の考えを使って説明してくださったときのことを思い出しました。中学になるまで、その内容はわからないままでしたが、先生が指先に力を入れて図面をかかれたときの真剣なお顔は今でも忘れません。