「山びこ通信(2014年度秋学期号)」より、下記の記事を転載致します。
『かず』(5〜6年)
担当 福西 亮馬
復習範囲のドリルをしています。春学期に1年生の文章題から始め、今ではだいたい3年生のところまで来ました。それと並行してこのクラスでは、日本地図を広げて、50マイルたまったら1県取れるというようにしています。ドリル1ページにつき1マイルです。(味付けが濃くならないように、それ以上のルールは追加しないようにしています)。大河ドラマでちょうど黒田官兵衛をしているせいか、戦国時代に楽しい印象を持っている生徒が多いようなので、一つの励みになればと思います。
授業の合間に、旧国名の話をすることがありました。「播磨と但馬と淡路を合わせた国が今の兵庫で、長野はだいたい信濃で、岐阜は美濃と木曽で…」と言い、それぞれの石高のことや、その石高からおおよその兵力が計算できるといった話もしました。すると、「(石高の)多い国ってどれ?」「そっか。滋賀県(近江)は琵琶湖があるからか」「78万石って、どれぐらい兵力が雇えるの?」と、素朴な疑問を投げかけてくれました。1万石がだいたい250人だと言われているので、ここで78×250=78÷4×1000=19500と、算数の問題を拾うこともできます。
もちろんこれだけでは算数の力はつきませんが、もしどれかの科目で「好き」という印象が育っているのだとしたら、それを他の科目ともお互いに重ね張りしておくことは、得なことだと思います。二つ以上のやる気の源を持っておくと、仮に一つが奮わない時でも、もう一つが補助に入ってくれます。「あれのようにこれも」というわけです。
ドリル以外の取り組みでは、ある時には、さいころ(正六面体)を作る11種類の展開図をすべて見つけるということをしました。宝探しみたいに盛り上がりました。またある時には、『algo』や『モノポリー』をしました。もちろんこれも生徒たちに「考えること自体」が好きになってもらうための取り組みです。考えること自体が好きであれば、ドリルでも後押しが期待できます。それを重ね張りできることを目的にしています。
算数で起こるエラーの原因には、およそ三パターンあるように考えています。一つは、算数自体に対する「ネガティブな印象」(自己暗示)。一つは、設問の意味を取り違えていたり計算間違いといった「勘違い」。そしてもう一つは、学習時期での「記憶違い」です。
一つ目は算数の根っこです。そこで算数という外見を取り外したところにある、中身の「考えること」自体が楽しいと思ってもらえるように、先の『algo』のようなものを用意しています。二つ目の「勘違い」に対しては、たとえば『まちがいさがし』を通して、独力で自分の間違いに気付く粘り強さを称揚しています。そして三つ目の「記憶違い」については、独力では修正できない部分なので、一緒に正しい方法を学び直します。その部分を見つけるためにドリルをしています。かずのクラスでは、だいたいこの三つの段階を取っています。