前回に引き続き聖書の世界に親しみました。
今回は新約聖書が中心です。旧約も含めて口語訳聖書(新約および旧約 索引)で手軽に読めます。
現代に生きる我々が聖書をどのように理解すればよいかということは大きな問題です。まず当時の状況を知る必要はあるでしょう。例えば塩は貴重なものだったに違いないといったことなどです。ユダヤ教の律法主義(形式主義)への対抗も容易に見て取れます。しかし対立といっても律法の本質を実現するのだという路線です。病人を癒やすエピソードが多いのは、特にそうした人たちに布教していたという事情があります(現代でも似たような状況があるかもしれません)。その病人たちが医学的に問題を抱えているかどうかはさておき、社会的に排除されている人たちだと解釈すれば、癒やすことができたというのも説明できます。しかし死人を生き返らせるなど、合理的には解釈しづらい奇跡もあります。
神と人間との関係を、人間と羊との関係になぞらえる場面もいくつかありました。神がすごすぎて人間同士の差異など、人間にとって羊はどれも同じようなものに思えるように大したものではないという発想も含まれます。
西洋思想の背後にある、こうした聖書的な感覚を少しでも体得してもらえれば幸いです。