10/20 かず5年

岸本です。

自分の中の常識が通じなくなったとき、人はどう反応するのでしょうか?

何か大げさなことを尋ねているように見えますが、ユークリッド幾何学の常識が成り立たない世界に出くわして、非ユークリッド幾何学が誕生したように、常識が覆される事態はかずの世界でも十分起こりうることです。
このクラスで今日起こったのは、まさにそのような状況でした。

今日取り組んだのは、小数のかけ算と数独でした。

前回の小数のかけ算は、子供さんの筆算の方法が一般に教えられている方法と若干違うということに気づいたところで、終わりました。
今回は、その方法がなぜ「間違い」なのか、考えてみました。

子供さんの方法が、一般的な方法と異なっているのは、小数点の位置の決め方でした。
子供さんの方法は次のとおりです。
「筆算において小数点をそろえ、導かれた答えの小数点の位置は、そろえた小数点の位置よりも一つ前にずらしたところにする」
この方法に従うと、2.5×0.4=1.00となります。
確かに答えは正しいのですが、小数点第二位の小数同士の場合、そう上手くはいきません。
例えば、1.25×0.08=1.000となってしまいます。(正答は0.1ですね)

子供さんと議論を交わしていくと、子供さんが教科書を独自に解釈して、自分なりの法則として、その方法を考え出したことが分かりました。
そうなってしまった原因は、教科書やドリルの計算では、先に挙げたような小数点第二位以下の小数同士のかけ算の問題がなく、小数点第一位の小数同士の問題しかなかったことです。
推測に過ぎませんが、そうした問題のみを解いているうちに、教科書の方法よりも、独自の方法がより解きやすいことに気づき、それだけを使い続けてしまったがために、教科書の筆算の方法が抜け落ちてしまったのではないでしょうか。

確かに、「小数点第一位の小数」しかない世界では、生徒さんの方法は「正しい」ことになります。
しかし、「小数点第二位以下の小数」が存在する世界では、「間違い」です。
世界が広がり、自らの常識が通じなくなったとき、子供さんはどのように感じたでしょうか?
心情を察するのは得意ではありませんが、自らのノートやドリルをめくり、自分の方法が確かであることを「頑固に」確かめようとしていたことから、やはり大きな衝撃だったようです。
しばらく、独自の方法への懐疑と疑念で混乱していたようにも見えました。
それでも、「柔軟に」一般的な方法を受け入れようと努力していました。
実際、その後の練習問題では、二つの方法を試しながら、一般的な方法の正しさを確認し、自分なりに消化している様子がみられました。

一面では「頑固に」自説の確かさを検証し、ある一面では「柔軟に」新しい説の確かさも確認する。
子供さんが見せてくれた、新しい世界への反応は、きっと社会に出ても役に立つ対応の仕方です。
少し大げさですが、この感覚を忘れず、寧ろその感覚を楽しんで、これからの人生を歩んで欲しいと思います。

最後に、誤解を与えないように付け加えておきますが、限られた条件の中、子供さんが自分で「法則」を見出し、それを「一般化」して新しい方法を見出したこと、そのことが十分に評価できることであるのは間違いありません。

残りの時間は、わずかでしたが、数独を行いました。
もう6×6の数独はほんの数分で解いてしまうほどです。
今回時間が無くて解かなかった裏ページには、今までよりも難易度の高い問題も用意したので、頑張って解いてみてください。

来週は、学校で実施されたという学力テストの間違い直しを行おうと考えています。