0726 英語講読カズオ・イシグロ『日の名残り』

主人公が父に仕事を減らすように言う朝の続きです。

 

ともかく仕事を減らすべきだということを父に伝えました。そして父はミスケントンが「まるで宝石を探すかのように」と描写した様子で転倒事故を起こした庭石のあたりを歩きます。

 

旅の話に戻りますと、ソールズベリーに来る直前に、にわとりをひきそうになったという出来事がありました。

 

再び回想ですが、父に仕事を減らすよう言ったのは重要な会議の直前でした。その会議というのは、第一次世界大戦後のヴェルサイユ条約がドイツにとってあまりにも過酷だったので、それを改正しようとする非公式会議です。フランスがドイツに対して断固たる処置を求めているという情勢でした。そこでダーリントン卿はフランス人を苦々しく思いながら、次のように言いました。

 

And to think we have to be seen by the world to be arm in arm with them. One wishes for a good bath at the mere reminder.

 

この意味が取りづらいです。一文目は「そして我々が彼らフランス人たちと手を組んでいると世界に見られるに違いないと考えることだよ。」という意味でしょう。会話の途中であり主語と動詞を備えた文になっていません。二文目を直訳すると「人は単に思い出しただけで十分な風呂を求める。」になります。日本語で言うところの「穴があったら入りたい」に近い表現だと推測します。

 

このあたりで今回は終わりになりました。