福西です。Rちゃんは連立方程式の問題とてんびん算のパズルを、Y君はこれまでの学校の範囲の復習とてんびん算のパズルをしました。
その後で、次のような整数問題を二人で一緒に考えました。
1つのサイコロを3回ふるとき、(1,2,3回目はすべて区別する)、出る目の積が8の倍数となるような目の出方は何通りあるか。
─『大学への数学 マスター・オブ・場合の数』(東京出版)
たとえば、6-2-2は、6×2×2=24なので、8の倍数です。
そして、2-6-2と2-2-6も区別して数えることとします。
「サイコロが2つ」(積が4の倍数)の場合については、Rちゃんがこの前の問題で解いてくれていました。
その時、自分で考えた方法で解けたことに、Rちゃんは自信を持ってくれたようでした。それなので、サイコロ3つの場合でも、その方法を一貫して押し進めることにしました。
(サイコロが2つの場合のRちゃんの解き方)
Rちゃんが考えた方法
3つのサイコロの積で作り得る8の倍数は、8,16,24,32…,216。
そして、たとえば、8については、
- 2-2-2
- 2-4-1
- 1-2-4
- 4-2-1
- 1-4-2
- 2-1-4
- 4-1-2
の7通りというように、そのあとの16,24…についても数え上げていく。
この方法は、 サイコロが2つの時は、出る目の最大値が6×6=36だったので比較的容易でした。
けれども今度は8の倍数は、8,16,24,32…,216と、27個に膨れ上がります。
果たしてできるのでしょうか。
普通なら、「エレガントに解ける」方法を教える所です。しかし、「こう」と決めたやり方があるならば、それをやり通した方が、あれこれ別のやり方を探して迷うよりも、意外と近道だったりするものです。それなので、あえて上の方法にじっくりとつきあいました。
そこで、Y君も一緒に、8の倍数を100以下と100以上とに分けて、二人で調べあげました。
Y君が100以上の場合を、Rちゃんが100以下の場合を受け持ちました。
その時の結果です。
(その時の二人の数え上げメモ)
Rちゃん
1)8…7通り
- 2-2-2
- 2-4-1
- 1-2-4
- 4-2-1
- 1-4-2
- 2-1-4
- 4-1-2
2)16…6通り
- 2-2-4
- 2-4-2
- 4-2-2
- 4-4-1
- 4-1-4
- 1-4-4
3)24…12通り(あとでここに修正が入ります)
- 3-4-2
- 3-2-4
- 4-2-3
- 4-3-2
- 2-4-3
- 2-3-4
- 6-4-1
- 6-1-4
- 4-1-6
- 4-6-1
- 1-4-6
- 1-6-4
4)32…3通り
- 2-4-4
- 4-2-4
- 4-4-2
5)40…6通り
- 2-4-5
- 2-5-4
- 4-2-5
- 4-5-2
- 5-2-4
- 5-4-2
6)48…9通り
- 4-4-3
- 4-3-4
- 3-4-4
- 2-4-6
- 2-6-4
- 4-2-6
- 4-6-2
- 6-2-4
- 6-4-2
(ここまでで43通り)
7)56…×(サイコロでは作れない数)
8)64…1通り
- 4-4-4
9)72…9通り
- 6-6-2
- 2-6-6
- 6-2-6
- 6-3-4
- 6-4-3
- 4-3-6
- 4-6-3
- 3-4-6
- 3-6-4
10)80…3通り
- 4-4-5
- 4-5-4
- 5-4-4
11)88…×
ここまでで56通り。
Y君
12)96…3通り
- 4-4-6
- 6-4-4
- 4-6-4
13)104…×
理由:(Y君)104=2×2×2×13で、、サイコロの目では作れない13が入っているから。
14)112…×
理由:(Y君)112=4×4×7で、サイコロの目では作れない7が入っているから。
15)120…6通り
- 5-4-6
- 4-5-6
- 4-6-5
- 5-6-4
- 6-4-5
- 6-5-4
16)128…×
17)136…×
18)144…3通り
- 4-6-6
- 6-4-6
- 6-6-4
以下、152~208まで×
理由:(Y君)
ひとつ前の144が、6×6×4でないと作り出せないということが分かっている。
それよりも大きい数で、サイコロで作り出せる数は、この後、6×6×5と6×6×6しかない。
ということは、180と216しかない。
しかし、180は8の倍数ではない。(216は8の倍数かつ6×6×6)
ということは、152から208の間はすべて省略できる。
19)152…×
20)160…×
21)168…×
22)176…×
23)184…×
24)192…×
25)200…×
26)208…×
27)216…1通り
- 6×6×6
Y君の部分は13通り。
数が大きい方を担当したY君は、大きくなればなるほど「ありえない」ということに気づきました。そうして早く終わった分、途中からRちゃんの援軍に駆けつけてくれました。(96、88、80…と順に計算を手伝ってくれました)。いやあ、カッコいいですね!
さて、上の二人の数え上げは、
56+13=69通り
と出ました。
実は、あと3通り、見つかっていないパターンがあります。
それはどこかな?
ということで、再度、探索が始まりました。
そして見つけました!
3)24のところで、
- 6-2-2
- 2-6-2
- 2-2-6
がまだありました。
そして、24は12通り→15通りと修正され、合計も69通り→72通りへと修正されました。
それで正解です。
作業はかなり大変でしたが、終わりが見えていればそのやり方を信じて頑張れるものです。「為せば成る」とはこのことだなと思いました。
40分ほどの、いい協力プレイでした。
二人とも、はればれとした気持ちで帰途につくことができました。
【追伸】
途中、何度もよく出てくる数え上げのパターンから、大事なことが分かりました。
まだ学校では習っていない範囲ですが、
- 3つとも異なる数の並べ方は、3×2×1=6通り、
- 2つが同じで、1つが異なる数の並べ方は、3C2=3通り
ということです。
いずれ「順列、組み合わせ」というものを習った時に、この時の勘がまた役に立つことでしょう。
具体的から抽象的へ。そして帰納から演繹へ。数え上げでは、臆さずにその手順を踏むことが大事です。