「山びこ通信(2014年春学期号)」より、クラス便りを転載致します。
『かず』(1〜2年 A・B), 『かず』(5〜6年), 『中学数学』 担当:福西亮馬
1~2年生のクラスでは、自然と計算が好きになってもらうことが目的です。そして算数全体にも興味が持てるような導入の工夫をしています。たとえば、数(自然数)の「大きさ」に対する感覚を磨く取り組みとして、『COP IT(コピット)』という遊びをしました。また、サイコロを使ったすごろくや数当てゲームをよくしました。
5や10や15という数の並びは、どれぐらいの刻みに置かれた数なのか。100や200という数は、10や20を意識していた時と違って、どれぐらいの大きさで認識すればいいのか。また「6に5を足すと、10から1はみ出す」という、頭の中で生じるあの何とも言えない──「数の感覚」としか言えないような回路を鍛えることを、その都度大事にしてきました。
5~6年生のクラスでは、一度これまでの内容を振り返って、1年生、2年生、3年生、4年生と、順番にドリルで「復習」に取り組んでいます。どこまでが楽勝で、どこからが曖昧になって来るのか、いわばウィルス・チェックのフル・スキャンをかけることをしています。特に、繰り返しの少ない「文章題」と、忘れかけている「幾何」とが課題です。そうして、積み残しのない、一貫した勝ち癖をもって、次の学年に上がってほしいと考えています。
また「論理」の取り組みでは、それぞれの学齢に応じた「パズル」に取り組んでいます。低学年では、『足し算パズル』と『ナンプレ』をよくしました。また高学年では『algo』をしています。「理詰めで考えること=それ自体が楽しい」ということは、今はまだテストの点数にはさほど目に見えて現れてくる部分ではありませんが、その後の数学での取り組みを積極的に迎える上では重要です。よく聞かれるのは、「小学校で算数は得意だったけれど、中学校で数学になってからは苦手になった」という声があります。それを見越した上で、一朝一夕では変わらないところでの日頃の積み重ねを行っています。
中学数学のクラスは、これまで学校で習ったことをきっちりと押さえて、過不足なく自信をつけてもらうことを目的にしています。以前、春期講習でしたことの延長で、時間の許す限り、復習のためのプリントを解いてもらっています。ほとんどのプリントが満点なのですが、時に、勘違いして覚えていたり、計算間違いに陥りやすい方法を採っていたりします。そのような「はてな」の分かれ道がどこにあるのかを、その都度、迷路のようにして解きほぐしながら、正しい道に至ります。地味ですが、それが一番嬉しい収穫です。さすが中学生ともなると、分からないことをなおざりにせずに質問してくれます。それもまた嬉しいです。
時に、その質問の内容から、生徒たちの興味のありそうな数学的な事柄を拾って、それに触れることもあります。春学期では、多項式の「次数」の質問から、ふと空間の「次元」との違いの話になり、「正8胞体」という4次元のサイコロを描いたことがありました。これは、普通の2つのサイコロを用意し、その面と面をそれぞれ貼り合せて作るのですが、その点や面を普通には数えることができません。しかし数学では、きちんとそれを「数える」ことができます。それを計算とアナロジーを使って実感してもらいました。そこから派生し、「メビウスの帯」や「クラインの壺」を作った時もありました。また最近では、整数問題に対する質問から、「ユークリッドの互除法」を紹介しました。
学校ではどうしても単元別に習うことが主な時間の使い方となります。そこで、単元と単元がどのようにつながっているのかという、より体系的な視点からも眺め、「モヤモヤ」が晴れるようなお手伝いができればと考えています。