福西です。6/4分の続きです。
Y君は、「てんびん算」のパズルの解き方を研究してもらったところ、「ぼく、このパズル好き」と言ってくれるようになりました。よかったです。
また、R君には次のような問題を出しました。
問1)
昭和元年(1年)は西暦1926年であり、昭和は64年まで続いた。この間に、西暦の年号が昭和の年号で割り切れた年は何年あったか。問2)
3007と1649の最大公約数を求めよ。
(問題は、『大学への数学 マスター・オブ・整数』(東京出版)より)
さてY君は、問1)に対し、次のような「表」にして網羅して調べる方法を採っていました。
(昭和,西暦)
(1,1926) → 1926÷1 割り切れる!
(2,1927) → 1927÷2 ×(割り切れない)
(3,1928) → 1928÷3 ×
(4,1929) → × 奇数を偶数で割り切ることはない(以下、昭和=6,8,10,…も同じ)
(5,1930) → 1930÷5 割り切れた!
(7,1932) → 1932÷7=276 割り切れた!
…
途中から、昭和が偶数の場合は、「考えなくていい」ということに気づき、奇数のみを探すことになりました。そしてこのあと11でも割り切れたので、「5、7、11と割り切れたということは、素数で割り切れるのではないか?」という予想を立てました。
ところが、(2,3もそうだったのですが)、次の13では割り切れないことが分かりました。
「ということは、やっぱり奇数の中を探さなあかんのか…」とY君。
そのあとも地道に、電卓を使って調べ上げてくれました。そして、
昭和=1,5,7,11,25,35,55
の7つが見つかりました。
合っていました。
「よっしゃ!」とガッツポーズのY君でした。
次の問2)に対しても、Y君は、「素手」と、独自のねばり強さで、挑戦してくれました。
そして意外に早い時点で、
1649が17で割り切れる
ことに気づきました。
それで1647=17×97に分解できるという、決定的な手がかりを得ました。
Y君曰く、
「97は素数だから、これでおしまいのはず。ということは、3007は17か97で(問題の意図から)割り切れるはず。そして17では割り切れなかった。97では割り切れた。ということは、3007と1649の最大公約数は、97だ!」と。(最大かどうかというところに、ちょっと自信がなかったようです)。
正解です。
「やったあ!」と、またまたガッツポーズのY君。
授業の残りの時間は、今している整数問題の興味から、「ユークリッドの互除法」を紹介しました。(詳細については「こちら」の記事をご覧ください)。長方形をクルクル回すのがミソです。
そして、上のY君が解いてくれた問2)のような問題を、互除法を使って、みんなで解きました。
Rちゃんが、「二つの数が、両方素数の場合はどうなるのですか?」という質問をしてくれました。それで、ぜひ調べてもらいました。
すると、互除法で出てきた答は、1になりました。
ちなみに、2つの数の両方ともが素数でなくても、片方がそうであれば、それは互いを割り切る共通因子がないことになります。また、最大公約数が1であるような2つの数のことを、「互いに素」といいます。
今回だけで、ユークリッドの互除法にだいぶ慣れてくれたようで、よかったです。
このような方法が、すでに2000年以上前に発明されていたということにも、素朴に驚いてくれていました。
また、Y君が、「それってアレクサンダーよりも前の頃の時代ですか?」と質問していました。
Y君は、学校の社会で今習っている、縄文時代や卑弥呼の邪馬台国などの範囲が好きだと言っていました。考古学が好きだからだそうです。そう言えばY君は星にも興味がありました。上の質問もまた、ゆえあること、ということでしょうか。
即答できなかったので、後で調べました。
ユークリッド(エクレイデス)は生没年は不詳ですが、エジプトのプトレマイオス1世(B.C.323~283)の時代には活躍していた人物です。また、「ユークリッドの互除法」の載っている『原論』は、その頃、B.C.300頃に書かれました。
また、プトレマイオス1世は、アレクサンダーの部下だったので、時代の位置関係ではアレクサンダーの後ということになりますね。
なお、アレクサンダー(アレクサンドロス大王)は、B.C.356~323です。
今度それを伝えようと思います。