福西です。ユークリッド『原論』の第3巻にある、以下の命題を証明しました。
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3.22 円に内接する四辺形の対角の和は2直角に等しい。
3.31 円において半円内の角は直角である。(直径の上に立つ円周角は直角である(ターレスの定理))
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3.25 円の切片が与えられたとき、その切片を含む完全な円を描くこと。(作図)
3.26 等しい円において等しい角は、中心角も円周角も、等しい弧の上に立つ。
(命題の各和訳は、『ユークリッド原論・追補版』(中村幸四郎ら編、共立出版)をお借りしました)
3.22では、R君は先週にした3.21を思い出し、それを応用して証明していました。
また以前、3.20の証明の別解として3.31(ターレスの定理)を使った方法をしたので、今回、その3.31を証明しておきました。
3.25の作図では、R君はずっと前にした3.1を思い出し、その時と同じように、2本の2等分線の交点で中心を求めました。
円の情報は、「中心」と「半径」、この2つです。よって、ここでは中心を求めれば、(半径は分かるので)十分となります。
3.25は、3.20(中心角の定理)や21(円周角の定理)ほどではないですが、見通しが良くなったり、便利な時があるので、今後も使うことがあるでしょう。
3.26は、3.21の逆です。
3.21の円周角の定理は、
「弧が等しい→円周角(また中心角)が等しい」
でしたが、3.26は、
「円周角(また中心角が等しい→弧が等しい」となります。
R君は以下のように「三角形の合同」を使って、また中心角から円周角と段階的に証明してくれました。
【概要】
1)中心角の場合
等しい円の異なる場所に2つの弦を引く。ただし仮定より、その上に立つ中心角は等しいものとする。
中心からそれぞれの弦の両端に補助線として引く。これは円の半径であり、それぞれ等しい。
上の補助線と弦で作られた三角形(2つ)に注目する。
ここで仮定の「中心角が等しいこと」が使え、2辺夾角相当より合同が言える。
合同な三角形の1辺なので、2つの弦は等しく、弦が等しければ弧の長さも等しい。
2)円周角の場合
1)で中心角が等しいことが示せたので、3.20より、中心角の半分であるところの円周角もまた、互いに等しいことが言える。
そして、この3.26を証明できたことにより、円周角の定理の「弧と円周角」との関係が、実は必要十分であることが示せました。
『原論』の3巻は命題が37まであります。残すところ、実質6個となりました。
命題36と37が3巻のクライマックス。
36が有名な「方べきの定理」、37はその「逆」です。また35は方べきの定理の一般形です。(たぶん36、37、35と示すと思います)
1巻において、「三平方の定理」と「その逆」がそうであったように、これらが3巻のラスボスと言えるでしょう。
そこまで、あともうすこしです。