後半は、和歌を今覚えているところなので、なじみを持ってもらおうと思い、実際に百人一首をしました。
ルールはおちらしではなく、競技かるたの方です。
取り合って、先に自陣の札がなくなった方が勝ちです。お手付きのルール、札の送りのルールなど、具体的なことはやりながら、ぼちぼち覚えていくことにしましょう。
まだ最初なので、枚数は50枚ではなくて、35枚でしました。(空札なし)
そして2年生のRちゃんが20枚スタート、1年生のM君が15枚スタートという、5枚ハンディでしました。
すると、ちょうどいい感じの「接戦」となりました。
「暗記時間」も少し設けました。
これまでに覚えた、「ひさかたの…」と「はるすぎて…」、そして「ほととぎす…」の配置を、率先して頭に入れていました。
(「ひ」「は」「ほ」、「ひ」「は」「ほ」…みたいなごろ合わせで床を叩きながら(笑))
また、一字決まりの札のことも話したところ、「じゃあ、これは最初何て詠まれたら取れるの?」と、他の札の「上の句」についても、積極的にたずねてくれていました。
それで、Rちゃんは、
「花の色は」(自分の名前に「花」があるから)
と、
「よをこめて」(上の句と下の句がどちらも「よ」─「よ」はじまり)、
「すみのえの」(一字決まり)
の配置を、ごろ合わせを使って頭に入れていました。
それにM君も対抗して、
「ふくからに」(一字決まり)
と
「これやこの」(蝉丸を知っているから)
をマークしていました。
結局、暗記時間はほぼ質問タイムになってしまいましたが、密度の濃い時間となりました。
また、字についても質問がありました。
「てんてんってないの?」と。そうなんです。「たたありあけ」となります。濁点がないのを探すのが、パズルみたいですね。
そして、「ゐ」と「ゑ」は何と読むのかということで、昔は「むずかしい『い』」と「むずかしい『え』」があったんだよ、という話にもなりました。「ぼく知ってる!むずかしい『を』もやんな!」とM君。その通りです!
(訂正:授業では「や行」のすき間にあるのがそれ、と言ってしまったのですが、後で調べたところ、正しくは「わ行」のすき間の方でした。来週にまた訂正します。や行のYiとYeは、ふつうの「い」と「え」と書くそうです。)
さて、「難波津に咲くやこの花冬ごもり…」と序歌を歌ってから、いざ取り始めました。
最初はM君が連取していたので、ハンディの5枚分もあって、かなり優勢に見えました。
ところが札の解析では、Rちゃんの方が素早く、Rちゃんの取りが続くようになりました。そして10対10ぐらいで並んだあと、Rちゃんの方がそのまま差を広げていくかに見えました。
しかし、ここで競技かるたの面白い性質が出てきます。
自陣の札は自分の方に向いて読みやすく置かれ、また反対に相手陣の札は読みにくく置かれています。
それなので、たとえ枚数に差が出てきたとしても、それは「自陣の読みやすい札が多い」という状況になります。枚数の少ない方は、その分自陣の札が読まれる確率が少ないことになります。だから、自陣の札が少なくなればなるほど、取りにくくなります。
M君は、「自分の方を見てたら、それだけ有利ってことか」と言って、持ち直していました。
両方の陣地を見渡す必要があった時は、確かに2年生のRちゃんの方に勢いがありました。けれどもそれが片方だけでいいとなると、1年生のM君にとっては、負担が軽くなり、集中しやすくなります。そしてM君は「とやまのかすみ」や「うしとみしよそ」などの札を、「と」や「う」と、最初の1字目で判別するようにもなっていました。枚数が10枚を切ってくると、この手は有効です。
一方、Rちゃんは「自分の陣地の札が何かをおぼえておいて、『それがない!』ということが分かったら、すぐに相手の陣地を見に行けばいい」と言っていました。
さてその頃、M君が7枚、Rちゃんが2枚になっていました。
M君の4連取の後、M君の守っていた蝉丸の札をRちゃんが取りました。
M君が3枚、Rちゃんが1枚。
次の札は、M君が取りました。
これで2対1。
Rちゃんが取れば勝ちですが、M君が取れば、同点です。
次は、たしか、「せをはやみ…」か「たかさごの…」だったように思います。
その下の句は、Rちゃんの手元にありました。
「はい!」
というわけで、
Rちゃんの勝ちとなりました。M君、実に惜しかったです!
M君は、「10枚ぐらいになってから、どんどん取れるようになった時があって、それが嬉しかった~」とも言っていました。
残り時間が10分ほどになったので、最後は坊主めくりでしめくくりました。
M君とRちゃんのお家でのルールがそれぞれ異なっていることが面白いと思いました。
M君は、場に没収された札を取れるのは「台付き」で、「姫」は単にもう一枚。蝉丸は「全員の手札を総取り」と言っていました。
また、Rちゃんは、「姫」が場の札を取って、「台付き」は単にもう一枚。蝉丸は「全員が場に没収される」と言っていました。
ちょうど反対の性質になっていました。
そこで、場の札を取るルールはM君の方を、蝉丸はRちゃんの方を採用しました。
私も一緒に混ざって・・・すみません、大人げなく私が勝ちました(笑)。
「つぎはもう片っぽうのルールでしよう!」とM君が提案し、「それがいい!」とRちゃんも了承しました。
今回は素話の時間がありませんでしたが、来週は、『うとう鳥のたたり』というお話をしようと思います。
百人一首いいですね。坊主めくりは私も何度もしました。今の中学3年生が小学1年生のときです。
Aikaちゃん、Emiちゃん、Kyoukaちゃん、Madokaちゃん、Makiちゃんですね。
百敷や古き軒端のしのぶにも なほあまりある昔なりけり─順徳院