福西です。これまでの暗唱のおさらいをしたところ、だいぶ「完全合格」が増えてきました。クラスに「先生の前に行って、合格してこよう!」というブームが作れてきたように思います。始まる前に、私の顔を見るなり、「兵はさをもって立ち…!」と、挨拶代わりのようにして言い始める生徒もいます。
さて、この日は新しく『推理クイズ』というものを始めました。
しめきったへやに、テーブルがあり、そのうえにかごがあります。
かごのなかには、りんごが六つあります。
へやには、六人の女の子がいます。
その女の子が一人一つずつりんごをもらいました。
でも、かごのなかには、りんごが一つあります。
なぜでしょう?
このような出題に対し、生徒の側は、「はい」か「いいえ」で答えられるような質問をします。何回質問しても構いません。
たとえば、
「へやのどこかに、かくされたりんごはありますか?」─「いいえ」
「へやのなかのりんごは、6つだけですか?」─「はい」
といった具合です。
そのように、質問をするたびに状況が浮かび上がっていきます。
そして答となる状況を探り当ててもらおうという形式のクイズです。水平思考クイズ、またはシチュエーション・クイズとも言うそうです。
推理クイズ自体は、先週のかずのクラスではじめて取り組みました。その時、探偵気取りで謎を解いたことが、よほどうれしかったようでした。それを「あれ、またやりたい!」ということで、今回は2回目です。(特にRyohei君が気に入ってくれています)。
のっけから、M君の「かごの底にリンゴの絵が描いてあった」(「いいえ」)という質問に、「おお!」と感心しました。
また、「女の子の誰か一人が、その家に遊びに来る時、家に入る前からりんごを持ち歩いていた」(「いいえ」)という質問も、よく考えられているなと思いました。部屋の中には6個だけれども、女の子が入って来た時点で7個になるというわけです。
他にも、
「テーブルの下に1階と通じる穴があって、ロケットのようにリンゴが発射されてくる」(「いいえ」)
「時計の中から(鳩のように)リンゴが飛び出してくる」(「いいえ」)
「コピーロボットでリンゴを1つ増やした」(「いいえ」)
「時間が止まって誰かが置いていく」(「いいえ」)
といったユニークな質問もありました。
最終的に、クラスでは、次のような所まで確かめられました。
「しずかちゃんの家に5人の友達が同時に遊びに来る。お母さんは部屋には入ってこない。部屋には鍵がかかっている。密室。りんごは本当に6個しかなかった。
隠れている人はいない。入ってくる人もいない。最初からりんごを持っていた人もいない。時間を止める侵入者もいない。おばけもいない。魔法もない。超能力者もいない。特別な仕掛けもない。一階や隣の部屋など、周囲にもりんごはない。(それらが何らかの仕掛けで「7個目のりんご」として入ってくることもない)。コピーロボットのような仕掛けもない。最初から最後までりんごは6つだった。1年生の誰でも同じことができる。
りんごをもらっていない人もいない。もらって、かえした人もいない。りんごを分割することもない。1人まるまる1個ずつもらった。しずかちゃんがかごからりんごを順番に配ってもらう。そして5人目まではしずかちゃんが友達に「はい、どうぞ」と渡し、「ありがとう」と言って受け取る。けれどもしずかちゃんがかごからりんごを取ると、間違い。でもしずかちゃんも、りんごを1つもらっている」
時間内に解くところまではいきませんでしたが、実はもう正解までたどり着いています。あとはそのことに「気付く」だけというところでこの日は終わりました。
「答おしえて~!」
「いいえ」
(笑)