福西です。
この日は、素話をしました。内容には『心臓をもたない巨人』というお話を選びました。
(このお話は、『子どもに聞かせる世界の民話』(矢崎源九郎編、実業之日本社)に収められています)。
一番大事な物(心臓や魂)は、時に弱点となるものです。そこで、それを自分の体の外に隠すことで不死身となった巨人が登場します。(ハードディスクならぬ「魂の外付け」ですね)
けれども巨人は、自分の心臓のありかについて、ついうっかり口を滑らせてしまいます。そしてその情報をもとに心臓を発見されてしまい、自分の手元にないことがあだとなります。結局巨人は、自分が手出しできないまま、心臓の入った卵を握りつぶされて、退治されてしまいます。
詳しい内容は割愛しますが、「遠く離れたところに森があって、その森の中に湖があって、湖の中に島があって、島の真ん中に教会が立っていて、その教会の中に池があって、その池の中にアヒルが泳いでいて、そのアヒルが持っている卵の中に心臓を隠しているのだ」は、何度も言っているうちに覚えてしまいました(笑)
このお話は、私が幼稚園の引率をしていた時、年長の頃のT君が興味を持って聞いてくれた話でした。それを思い出したので、この話を選びました。
残りの時間は、これまでのおさらいと、新しい暗唱をしました。
なせばなる
なさねばならぬ
なにごとも
ならぬは人の
なさぬなりけり
上杉鷹山の歌です。上杉謙信(武田信玄のライバル)の子孫ということで紹介しました。
「な(為)せば」「な(成)る」「な(為)さねば」「な(成)らぬ」といった、似たようなフレーズが繰り返します。リズム感はあっていいのですが、まぎらわしい分、覚えにくいと思います。早口言葉か、なぞなぞみたいですね。意味は砕いて説明しましたが、「やったらできる、できないのは、やらないからだ」というのは、割としっくりと来てくれたようです。
「『なにぬねの』が全部ある!」とは、Ryohei君の発見です。
新しい上の文章と、以前の文章とおさらいをした後、いつも通り前に出てきてもらいました。自信のある文章にはもう一度すらすらと言えるかどうかを、まだ合格していないものについてはできるところまでを挑戦してもらいました。
先週から参加してくれたRt君が、言葉短く、「言える!」というので、「兵はさをもってたち・・・」と「ゆえにそのはやきこと・・・」を暗唱してくれました。途中参加の彼には教えていなかったので、びっくりしました。お家でお母さんと練習されたそうです。
その後、「全部合格」をして時間があまった人には、暗唱の文章の書き取りをしてもらいました。ここでもRt君は、「兵はさをもって立ち・・・」と「ゆえに、そのはやきこと風のごとく・・・」を、しっかりとした字で書いてくれていました。