前回の最後のほうではマージおばさんがワイングラスを握りつぶすという出来事がありましたが、その後の次の表現について疑問が生じました。
It had been a long time since he’d lost control and made something explode.
これは「自制心を失って何かを爆発させてから長い時間が経っていた」という意味だと私は思ったのですが、既存の日本語訳では「自制心を失って何かを爆発させたのは久しぶりだった」となっていました。後者ではこの出来事もハリーの魔法のせいだと読めてしまうので、その後の展開と整合しないように感じます。
今回はその続きからです。
ハリーはマージおばさんにいじめられそうになるとハーマイオニーからプレゼントされたほうき手入れセットのことを思い浮かべることで対処して、どうにか彼女の滞在の最終日を迎えます。かなり酔ったマージおばさんがハリーの両親をひどく罵り、ついにハリーは我慢できず怒りを爆発させてしまいました。マージおばさんが風船のようになり、ハリーはそれを放って家出したのです。
大きな荷物を抱えていくつかの通りを越えるとハリーは我に返りました。夜中に見知らぬ街にいたら警察に声をかけられてしまうだろうと思い、ロンドンに行って魔法使いの世界のお金を引き出してどうにか過ごそうかと思案しますが、ロンドンに歩いていくのは困難だということです。結論を言うと、knight busという魔法使いの乗り物をつかまえることができて、ロンドンに行くことができそうになりました。
このあたりの土地勘がわかりづらかったので調べてみました。すでに誰かが調べているだろうと思ったらやはりそうでした。
HPL: Essays – Surrey: Showing the Location of Little Whinging
ダーズリー家があるPrivet Driveは架空の地名ですが、現実にあるLittle Whingingにあるそうです。ロンドンから数十キロメートルということで、車でちょっとすれば行けるが大きな荷物を抱えて歩くのは難しいという本文の描写にぴったりです。このknight busは百マイルほどを一気に進んでウェールズに行ったりもしていたので、それも符合します。
これで少しすっきりしました。