ことば1~2年A(0513)

福西です。
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(山の学校の前に咲くツルニチニチソウ)

さいている むらさきいろの にちにちそう Reika

ゴールデンウィークを挟んでだいぶ空きましたが、前回に引き続いて、「かるた作り」をしています。

今回からは少しルールを変え、「俳句で書いてもらう」ことにしました。

上の句は、最初が「さいている」からはじまっているのがいいですね。

Rちゃんは最初この句を閃いた時、結句で「おはな・・・」と、最後の二文字を埋めるのに困っている様子でした。そこで私が(お節介とも言えますが)「お花の名前を入れて伸ばしてみたら?」と案を出しました。

するとRちゃんが「何ていうお花?」と聞いてきたので、「ツルニチニチソウ」と答えました。(実は私も最近になってそれを知りました)。その花の名前は、Rちゃんにも気に入ってもらえたようでした。(ツルを入れると字余りなので、わざと取っています)

ちなみにRちゃんは、「大きくなったら何になりたい?」とたずねると、「幼稚園の頃は、お花屋さんかケーキ屋さんやった」ということでした。もしかしたら、石段の脇にひっそりと咲いているお花をさっと見つけたあたり、ゆえあることだったのかもしれません。

つきみたり ながれるほしの よるのそら Michitada

M君の自薦の一句です。お母さんもこの句をとても気に入っているそうで、「お家の冷蔵庫にいつも貼ってあるよ」と教えてくれました。またM君は、「今度、おうちでも書いた『俳句ノート・その1』を持って来る!」と言ってくれました。それを次回見せてもらえるのが楽しみです。

M君は幼稚園の年長の頃に俳句をしています。その時に自分で作った作品を、私もまた保存していたので、それをクラスでも紹介しました。「これ、Ryohei君と一緒に作った俳句や!」とぱっと思い出してくれたあたり、素直に憶えているものなんだなあと感じ入りました。

その俳句作りに、今日は少しお部屋の外に出て、景色を眺めました。緑のモミジがとてもきれいでした。

その後、以下の俳句を憶えてもらいました。

目には青葉 山ほととぎす 初がつお 素堂

すらすらと暗唱できるようになった人には、次の和歌、

ひさかたの光のどけき春の日に しづこころなく花のちるらむ 紀友則

にも挑戦してもらいました。

今週から、季節の俳句ないし『百人一首』の和歌を一首づつ紹介していこうと思っています。(二つ目はちょっと季節はずれですが、春の歌も紹介したかったので出しました)

今おぼえてくれている俳句や和歌は、もとより古典です。ですが、書き留めている自分の言葉や作品もまた、その生徒たちにとって固有の古典となりえます。何度も思い出すたびに力が湧いてい来るもの、それが古典なんだと私は思っています。だから今はその種まきをしているつもりです。(このようにブログに残しているのもそのつもりです)。以前も書きましたが、「大事にすることが大事」で、「大事にしたものが大事になっていく」のだと思っています。

絵本は、『しょうとのおにたいじ』(稲田和子/再話、川端健生/絵、福音館書店)を読みました。
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この昔話の後半部分は、あるお話ととてもよく似ています。以前、「バリエーション」に対する興味が、未知(勉強の世界や本の世界)への意欲を牽引するということを書きましたが、それがこのお話を選んだ理由です。

しょうと(メジロ)は、「どうしても はたらきに でにゃあならんので」とお地蔵さんに、三つのたまごの子守を頼みます。お地蔵さんは「ああ よしよし いっといで」と引き受けます。しかし、それを知った赤鬼、青鬼、黒鬼が、お地蔵さんのもとへやって来て、一つずつたまごを奪って食べてしまいます。

はたらきから戻ってきて、お地蔵さんに事の次第を告げられた親鳥は、「歌わなくなり、ないてないて」するようになりました。

ないてばかりいるのは、鳥だからむしろ当たり前だと思われるかもしれません。ですが、ここの「鳴く」は、「歌う」と「泣く」という言葉の機微があります。

「そうか、そうか。わがこをとられるほどつらいことがあろうか。」

と、見舞いに来たどんぐりたちが言います。私は、この絵本を読んでいた時、生徒の親御さんたちの気持ちがふとよぎりました。(どちらの生徒さんも、遠くから通ってこられているので)。どのクラスもそうですが、今の時間を大事にしなければ、ばちが当たるというものだと思いました。

「しょうとんどん、おおぜいつれてどこへいく」
「おにのやかたへ あだうちに」
「そりゃまた どうして」
「かわいい こどもを みっつも おにに のまれたけえ」
「それじゃあ わしも ついていこう」

さて、この口調が5回続き、その都度仲間が増えながら、ぞろぞろと一行は鬼退治に向かいます。生徒たちも気持ちが乗ってきて、途中から上の台詞を繰り返してくれました。そして、

「さるかにがっせんみたいや!」

と 口々に言っていました。

最後は、鬼退治が成就します。ふと、Rちゃんが「ゆるしてあげへんの?」と心配そうにたずねていたのが、印象的でした。この絵本ではおにはどうしても許してもらえなかったようです。すると、「そうか、子供たちを食べたんやもんな…」とRちゃんは自分で自分に言い聞かせているようでした。

今度は、許しのモチーフのあるお話を探して紹介したいと思いました。