ことば3年

福西です。

京は九万(くまん)九千(くせん)くんじゅの花見かな 芭蕉

今週の俳句です。毎週一句ずつ、前に習ったのを重ねて覚えていくようにしていきます。今週は一句、来週は、先週の一句+今週の一句…というふうに。春学期で十二句用意しています。昨年の授業の様子を聞いて「彼らの頭はまさしく吸い取り紙のようだ」ということなので、「歩けるのに歩かせない」ようなことにならないようにと思っています。また、一度に十二個覚えるのではなく、一個ずつ覚えていけば、先に覚えたものがどんどん軽くなっていくという覚えるコツも、身に付けて欲しいなと思っています。

最初は声だけでいったん覚え、今度は字に書いて覚え直します。手を動かすときはやはり耳の時とは別の負荷がかかるようで、覚えたつもりで油断して、最初手本をしっかりと見ていなかった生徒は、耳で覚えたものと違うものを書いている自分に気付かず、そのまま「できた」となってしまうことが割合よく見られます。そうでありながら、書くことには漢字も含めて意欲的です。「もう一枚紙ちょうだい」という今の意欲を応援していければと願っています。

今日は一句だけだったので、案の定「なんか簡単」と言う生徒もいましたが、かと思うと、横から「そう言ってられるのも今のうちや」と言う生徒もいて、笑ってうなずいた次第です。

後半は俳句続きで、「2年生の間に習った俳句を書いてみよう」と促しました。「ぼくあれ知ってる、だからあれ書こう」と、前に覚えた俳句を誇らしげに書く様子が特に微笑ましかったです。(本当は別に用意していた書き取り用の文章があったのですが、来週回しとしました)

前半はそらで覚えるために「最初は見て、だんだん見ないで」という「書く」でしたが、後半は正確に写すために「2年生のプリントを見ながら」という「書く」にしました。(こういうときファイルはありがたいです)

以前書いた記憶のある俳句は、さすがに漢字のミスもなくしっかりと書けていました。特に「芭蕉」の名前などは頻出なので、筆致が頼もしいですね。また、ある生徒は、「一茶」の茶の「ホ」が「ここ、離れてるしな」と自己フォローを入れるので(きっと以前誰かに指摘されたんだろうな)と思って可笑しかったです。

また今日の俳句が芭蕉だったので、機転を利かせて芭蕉の句で揃えようとしている生徒もいました。そのように、決められた枠の中で色々なアドリブがあって、やっぱりことばのクラスを教えるのは面白いですね。

追伸

京は九万九千くんじゅの花見かな 

の「くんじゅ」ですが、調べても注にあるように群衆の意味しか出てこず、授業でも、国語辞典で(くんじゅは載っていないので)群衆をひいてもらったのですが、一方、方言で「九十」をくんじゅとも言うらしく、普通に九万九千九十のことじゃないだろうか(あるいは両方の意味をかけたのではないか)とひとり「もやもや」しています。ご存知の方は、ぜひこのもやを払ってください^^