福西です。明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
お正月のハレの気分を味わうということで、今回は『カルカソンヌ』というパズルゲームで数学の問題を考えました。
問題(制限時間:1時間)
・タイル(約150枚)をすべて並べ、得られる点数をできるだけ高くせよ。
・ただし、机からはみ出して並べることはできない。また、点数の獲得に使える駒は9個とする。
・点数の計算方法は、通常ルールに準ずる。
『カルカソンヌ』は、写真にあるように、絵柄がつながるように並べていき、町や道の絵を完成させることで点数を競います。ただ今回は対戦ではなくて、上のような問題を考えてもらいました。(詳しいルールはここでは割愛します)
枚数が限られているということは、並べ方が無限ではないということはすぐに分かります。ただし有限であっても、単純計算で150!=150×149×…と、天文学的なパターンになります。(実際には絵柄が合う必要があるので、もっと少なくはなりますが)。さて、有限の枠の中であれば、必ず最大値が存在するはずです。それがいくらかというのが興味のあるところです。
トランプのポーカーで、フラッシュとストレートの一体どちらの方が確率が低いのか(それぞれ何通りのパターンがあるのか)を、誰しも一度は気になったことがあるかと思いますが、それと問題意識は似ています。
さて、点数を得る方法には何通りかあり、どれを重視するかで、方針が変わってきます。
たとえば、町重視の場合は、町の絵を極力一つにまとめて大きな町を作ればいいことになります。町は大聖堂を置くと、完成に要したタイル1枚につき3点です。
(大きな町を作る場合。完成に要した枚数×3点)
一方、草原重視の場合は、町の個数が得点源になるので、小さな町をたくさん作る方が有利になります。草原はブタを置くと、草原に隣接する町の個数1つにつき4点入ります。
(小さな町をたくさん作る場合。1つの草原につながっている町の個数×4点)
はてさて、どちらが有利なのでしょうか?
一見、4点の草原の方が、3点の町よりも実入りがいいようにも思います。ただし、草原で点数を得る場合は、どんなに小さな町にも最低2枚必要となるのに対し、町で点数を得る場合は、1枚ずつがその得点源になります。そういった制約から、果たしてどちらがより得なのかが、思案のしどころです。
あるいはこういう第3の可能性も考えられます。町と草原のどちらもそこそこ目指す、バランス重視の方が、どちらか一方を重視するよりも点数が高くなるのではないか?と。でもやってみないと分かりませんね。もしかしたら、やっぱり中途半端になるのかもしれません。
それとも、第4の方法として、最初片方を重視しておいて、途中から別の方の重視に乗り換えるということも考えられます。(こういう意識は、いつか数学で習うことになる、線形計画法という問題でも見られます)
そういった素朴な疑問を持ちながら、実際に挑戦してみました。果たしてどのように考えるのがベストなのか、それはまだ(少なくとも山の学校では)誰もやったことがないので、誰にも分かりません。
また、考え始めるにあたって、おそらく大まかには二通りのタイプがあると思います。
1)計画主義・・・あらかじめ、どんなタイルが何枚ずつあるかの情報をすべて把握してから、並べ方を計画、実行する。
2)修正主義・・・とりあえず思ったように並べていき、タイルの入れ替えを順次行うことで、より高得点の状態へ遷移させていく。
様子を見ていると、K君とY君は、2)の方針を取ったようでした。
またどうやら、町>道>草原の順番で重視する傾向で考えてくれていました。
結果は、最後の写真にあるように、456点でした。
そこで「456点は、この問題における最大値かどうか?」と、二人にたずねてみました。
すると、「いや、まだ高得点が狙えるはず!」とのことでした。
今回の自分たちの試行錯誤には、ムラがあることを自覚しており、そこが新たな得点源になるはずだという意味合いが含まれていました。
実際の社会に出てプロジェクトを任されるようになると、制約の中で目的(利益など)を最大にする問題を考えることになります。今回はその一つのシミュレーションだったと思ってもらえれば幸いです。
追伸:
この日、私自身もまた、「草原重視で500点を越えることは可能かどうか?」(草原ルールはブレイクスルーになるのかどうか?)という疑問を抱きました。なので二人には内緒で挑戦してみたいと思います(笑)。
いろんなゲームがあり、色々な所に学びの機会があるものだと感心しました。すべて提案の仕方、場づくりの妙かと思います。