高木です。
先週の「ことば遊び」を用いた詩作を「今日もやりたい」と言ってくれたので、最初に回数を決めて、準備していたものは後にまわして、カードに書いた「ことば」をくじのように引きはじめました。
この取り組みの面白いところは、「ことば」を引きながら、次々と詩的なイメージがわいてくることです。イメージが消えてしまわないうちに、どこかに留めておきたいと思うので、原稿用紙に書くということが、ごく自然になされているな、と子どもたちを見ていて思いました。
さて、それでは、たくさん書いてくれた詩の中から、ひとり一作ずつですが、ご紹介します。(※カギ括弧「 」内は実際に引いた言葉です。「括弧をつけると分かりやすい」と提案してくれたのはM君です。)
人の「心」に「テレポート」したら
「心」が「色紙」のようにも見えるし
「季節」のようにも光っている。
引いた中にはない「光っている」という言葉に、M君の言葉のセンスがうかがわれます。この詩を読んだT君は「冷たい人の心は冬に見えて、温かい人の心は夏に見える」と言ってくれました。もしも心の中にテレポートできたら、きっとそこにはこのM君の詩のような色彩豊かな光景が広がっているのでしょうね。
そしてT君の作品。
「文庫」を開けると「ルービックキューブ」のような六面体の「銀河」があらわれた。
その中には「ルビー」のように赤い「水星」がある。
その本がぼくは「スキー」
最後の「スキー」を「好き」と掛けるところに、T君らしいユーモアがあります。また、「文庫」「ルービックキューブ」「銀河」という一見何の関係もないような言葉のつながりが、「ページから立ちあがる六面体銀河」という非常に美しいイメージに結晶化しています。しかもその銀河は、ルービックキューブのようにガチャガチャと組みかわるのです。
できた詩をそれぞれに発表してもらうと、(自分で)書き直したいところ、面白いところ、「もし〜なら」といったイメージが、たくさん出てきました。
書いた詩を発表したあとは、昔の詩人の詩を朗読しました。
とりあげたのは、北原白秋の「薔薇(ばら)」です。
薔薇は薄紅(とき)いろ、
なかほどあかい。
重ね花びら、
ふんわりしてる。
薔薇は日向(ひなた)に
お夢を見てる。
蟻(あり)はへりから
のぞいて見てる。
薔薇の花びら、
そとがわ光る。
なかへ、その影、
うつして寝てる。
交互に何回か朗読しました。今日はみんなで一緒に意味を考える時間がとれなかったので、私が簡単に説明するだけにとどめました。まどろみのように柔らかに美しい薔薇。その「薔薇」も「ことば遊び」のカードに加えたいと、T君とM君は言ってくれました。
詩作に興味が出てきたところで、プロの作品を読む・・・。なるほど、とか、さすがだ、といった具合に思うことでしょう。感度が上がること請け合いですね。いまの取り組みを通じて、言葉の使い方、組み合わせ方のセンスが磨かれるように感じております。