『ロボット工作』 (担当:福西亮馬)
ある時、半田付けが「うまくなりたい」と思い立ったA君が、棚から予備の基板を一枚持ち出して、自ら半田づけを練習していました。時間に換算すれば10分ほどの短い出来事でしたが、以下に述べるようなコツを自分で掴んで腕を上げてくれました。それはA君の自信となったようでした。
半田付けでよくしてしまう間違いは、熱する順番です。正しくは「半田からパーツ」ではなくて、「パーツから半田」です。ただ、そのように言われても、最初はなかなかピンと来ないものです。そこでA君のように「うまくなりたい」と自分からアクションを起こしたところにそれなりの手ごたえがあったことは、良かったことだと思います。またある時、A君は自分のスマートフォンでその日の進捗状況を写真に撮っていたのですが、その拍子に、「やっぱり半田付けをした後は達成感がありますね」と言うことがありました。そして「今のこれ(モータードライバー)ができたら、次はもう少しきれいに半田付けしたいですね」とも。実際の基板を見せてもらうと、半田付けした面は十分きれいなのですが、それでもまだ「ここを改善したい」という意欲があるようです。そのようなA君の「1個できたからもう十分」と思わないところに感心しました。
3年生のA君がそうであるように、2年生のH君と1年生のR君もまた、一つ一つの出来事の進展に素朴に喜んではまた、熱心に取り組んでくれています。ロボット工作というと、人型のロボットやガジェットをいじったパフォーマンスが思い浮かびますが、クラスで大事にしていることは、その中身をより細かなパーツで組んで理解するということです。「やっとモーターが動いた!」や「無事にプログラムが送れた!」という感動は、地味と言えば地味かもしれません。また80分という時間はあっという間で、なかなか思うように作業の進まない日もあります。しかし、もしこうした取り組みに何か達成感を見出してくれるとすれば、このクラスを作った甲斐があるというものです。
冬学期は、以前に引き続き、モータードライバーの自作に取り組みました。PWM制御も少し勉強しました。また自作したモータードライバーがPWM制御に対応するためには、Hブリッジ回路の上段のFET(Pch)をしっかりと閉じる必要があります。そこで信号との間にもう一段FET(Nch)を追加する工夫を取り入れました(ゲート・ドライブの改良)。また最近では、液晶キャラクタディスプレイ(LCD)に“Hellow World!”と文字を表示させました。これは電子工作の定番ですが、やはり「はじめて」の出来事には、ひとしおの感動があります。その時、配線の多さに苦労を感じたので、時間がある時にまた半田付けをして、そのモジュール化をしています。残りの授業では、赤外線センサーの値に応じてモーターを動かし、その値をLCDで確認する実験を考えています。そのように、少しずつではありますが、マイコンの周辺部品を充実させて、よりロボットに近づけていこうとしています。
(福西亮馬)