12/9 ことば高学年(作文)

高木です。

 先週まで読んでいた野尻抱影の『赤い手鏡』を踏まえて、K君が書いてきてくれた感動の経験は、レオナルド・ダ・ヴィンチの「ラロックの聖母」という絵画作品を観たときのことについてでした。
 作文の前半では、「ラロックの聖母」のモティーフや、その作品が発見される過程について、詳しく語ってくれていました。その作品は、ずっとダ・ヴィンチのものだとは知られずに、ラロック村の村長の古いリサイクル・ショップに置きっぱなしになって埋もれていたのだそうです。
 K君は「ラロックの聖母」をテレビで観たのですが、それでもその作品は「あっとうてきな存在感」をもっていたと、作文の後半に書いてくれています。聖母マリアの服のしわは、ひとつひとつよく描きこまれていて、まるで「本物みたい」であり、またキリストとヨハネは「神なのか人なのかわからない顔」をしていました。
 K君はかつて「モナ・リザ」を観たことがあるらしいのですが、そのときはそれほどの感動はなかったそうです。でもこの「ラロックの聖母」にはどこか心を打たれたそうです。作文の文章表現を確認しながら、ときおりその感動について熱っぽく語ってくれるK君は、その都度いま語ったことを作文に書き足してくれます。自分の文章を磨きあげるその姿は、まるで作品を彫琢する芸術家のようでした。