福西です。
クリスマス サンタがくるよ なにたのも ももこ
これは、幼稚園の年長の女の子が作った今年できたての俳句です(園長先生から伝え聞きました)。またある男の子が園長室で、「この家ってどうやってサンタが入ってくるの?」と曲がりくねったストーブの通気管を見て言ったという話も耳にしました。
そのイメージをもとに、このクラスの生徒を思い出すと、サンタクロースに手紙を書くというモチーフがきっと好きなのではないかと思い、12月の授業はアドベントカレンダーをめくるような気持ちで「サンタクロースで行こう」と考えました。
幸い作文が好きな生徒たちなので、今回は「サンタクロースは、煙突のない家には、どうやってプレゼントを配りに来るのか?」というテーマで書いてもらうことにしました。
この絵本は、牧場に小さなロバがひとりぼっちで飼われていて、人間の子どもたちからサンタクロースの話を聞きます。ロバは、「ロバにもサンタクロースはきてくれるのですか?」という素朴な疑問を抱きます。
クリスマスの夜、トナカイにそりをひかせたサンタクロースがロバのいる牧場に降りてきて、具合の悪い一頭のトナカイをここで休ませてほしい、その間だけ、君にそりをひいてほしいのだがと頼みます。「いいですとも!」とロバははりきって引き受けます。
プレゼントを配っていく時の、ロバの表情は無償の仕事の輝きに満ちています。でもさすがに疲れて、全て配り終えて牧場に戻ってきた時には、ほっとしました。そこでサンタクロースがようやく言います。「そうだ、君にも何かプレゼントがないとな」と。ロバは思わず自分の願いを告げます。
「それなら、明日の朝を楽しみにしておいで」と言って、サンタクロースは夜空に去っていきます。そして翌朝…。
この絵本は、私が好きな一冊です。
さて、「えんとつがなくても…」の問いですが、Jちゃんは「サンタクロースはえんとつがなくてもくれるの。あたりまえです。とうめいだからきづきません。ぶつからないよ」(とうめいは、すりぬけるという意味だそうです)
と、書いてくれました。その後にお話まで作ってくれました。
「ムシャンおいしいゲホゲホ。」←風邪が治るようにリンゴを食べた音。
「もうおとうさんむりして。」
ふゆ12月24日、サンタさんが高ねつがでてねていました。
「おとうさんもうふゆですよ、おきてプレゼントをあげなくちゃ。あ、もうこんなじかん。」
という書き出しで、サンタが高熱の時にどうやってプレゼントを配るのか、その家族のお話です。
サンタクロースの寝ているベッドから、手が届くところにベルトコンベアーの基点があって、そこにサンタがプレゼントを載せると、その後から袋をとじる係りと、飾りをつける係りとが流れ作業で取り掛かっているという、家の間取りも緻密に考えてあるところがユニークに思いました。
お姉ちゃんのRちゃんは、「サンタ→透明(すり抜け可)→煙突がなくても大丈夫」ということの理由を、友達から聞いた話を伝聞形にして書きつづっていました。
中では「信じていない人には見えない」や「わざと起きて正体を見ようとしている人のところには来ない」といった、サンタクロースにまつわることにまで話を広げてくれていました。そして「一回だけサンタ・クロースさんの仕事を手伝ってみたい」という希望も書いてくれていたので、まるであの絵本のロバの気持ちだと思いました。
ちなみに私は、サンタクロースというものは、昔、「どんな不幸な時代でも、その日だけはいい夢が見られるために、ぐっすりと眠れる一夜」をプレゼントしていた(ので、一夜でそれを世界中に配れた)ところ、だんだん現代になって、夜そのものに他の物も一緒にプレゼントするようになっていったというのが持論です^^
そして、サンタクロースはその名誉な仕事を、世代交代して(きっと厳しい修行をつんでいる人たちがいるはずです)受け継いでいるのだとも。あるいは、サンタクロースが一夜で全部プレゼントを配れる理由は、きっとサンタクロースからプレゼントを以前もらったという子どもたちが大人になったその時に、サンタクロースのお手伝いをするからだと思うのですが、どうでしょうか^^?
夢のある作文の題材ですね。生徒たちが楽しんで取り組んだようすが伝わってきます。亮馬先生のユニークなサンタさんの解釈も楽しいです。では、次週の展開も楽しみにしています。