12/2 ことば高学年(作文)

高木です。

 今週は、K君が家で書いてきてくれた作文を一緒に確認するところからはじめました。野尻抱影がBさんの手紙を読んだとき、なぜまず「ぽかん」とし、それから涙を流したのか、ということについてです。(野尻抱影「赤い手鏡」のあらすじについては、先々週11/18 の記事をご覧ください。)

 この「ぽかん」が難しいところです。

 先週の最後の時間はそのことについて、二人でいろいろと話し合っていました。それで、今日見せてくれたK君の作文には、先週の議論が踏まえられた上で、かつK君の鋭い分析がなされていました。

 抱影が「ぽかん」としたのは、一気に感情が押し寄せて頭の整理ができなかったからだ。抱影の頭のなかでは、「村上さん」が赤い手鏡と共に手にしていた本が自著だったということの「嬉しさ」と、その村上さんが天に召されてしまったということの「悲しさ」が、同時に入り交じっていた。それで一瞬「ぽかん」とせざるをえなかった。

 非常に的確な分析だと思いました。頭の整理ができなかったとしたうえで、そこにどのような感情があったのか、ということまで突っ込んで書いてくれていました。K君の良さは、知的好奇心が旺盛なのと同時に、こうして一つのことを掘りさげて考えてくれるところにあります。

 作文の確認のさいに、この「ぽかん」について、さらに議論が発展しました。たとえば押し寄せた感情がただ一種類であったとしても、それがあまりにも大きすぎる場合、やはり人は「ぽかん」とするのではないか。身近な人の突然の死に立ち会ったときに、人は茫然自失となる、といった例をK君は出してくれました。また私は、すばらしい芸術作品に触れたときの、あの茫然と立ち尽くす感じについてお話ししました。

 来週はK君自身の感動体験について書いてきてもらった作文を確認していきます。