将棋道場近況(山びこ通信2012.2より)

今号の山びこ通信(2012/2)から転載いたします。

『将棋道場』(担当:百木 漠)

4月の将棋道場は新学期ということもあり、定員いっぱいの20名の子どもたちが参加してくれました。初参加の子も数名ほどいましたが、みんなすぐに将棋道場の雰囲気に馴染んでくれたようで、楽しく将棋を指してくれていたようです。

駒の動かし方を覚えたばかりのI.Koくんは対戦をするのがほとんど初めてで、なかなか勝てなかったようですが、不機嫌になったりすることもなく、素直に将棋を楽しんでくれたようです。初心者はどうしてもなかなか勝てないので、はじめは楽しくないと思うのですが、そこで「悔しい、勝ちたい」と思うことができれば、その子は必ず上達します。I.Koくんにも是非そうなってもらいたいものです。いっぽう、Taくんの友達のYuくんは初参加ながら三連勝していきなり7級に昇級していました。荒削りながら、センスの良い指し回しで今後の活躍が期待できそうです。

全体でみて好調だったのは、SyoくんとJuくんです。それぞれ6級と5級ですが、ふたりとも上級者相手に勝ち星を稼いでいました。どちらもまだまだこれから強くなりそうですし、互いにいいライバルになりそうな予感がします。勝ちまくっている子たちにはある種の「勢い」があり、少々の実力差があっても上位者に勝ってしまう場面をよく見かけます。このふたりにはその「勢い」を感じるので(ちなみにSyoくんは2月のトーナメント大会で準優勝でした)、このまま行けるところまで行ってほしいなと思います。現在5級のSoくんやK.Koくんは最近やや足踏み状態ですが、これからSyoくんやJuくんがいいライバルになるのではないでしょうか。M川さんのお母様もこのあたりの子どもたちと平手で指していい勝負をされているようです。

またFuちゃんも7級から6級に昇級しました。AiちゃんやYuちゃん、Koちゃんなどがライバルですが、最近めきめき強くなっていて、女の子陣のなかで一歩抜けだしたかもしれません。Aiちゃんがその後を追いかけるような展開だと思います。ふたりとも対局中の集中力が高く、きちんと3手先を読んでから指そうとする努力が見てとれます。定跡や囲い方を覚えて、詰将棋を解くなどの練習を積めばもっと強くなるのではないでしょうか。Fuちゃんの弟のTeくんもお姉さんを追いかけて強くなっていて、見ていて微笑ましいです。お姉ちゃんをおびやかす実力を身につけてほしいものですね。

僕自身もKaくん、Yuちゃん兄妹と六枚落ちで対戦しましたが、どちらも僕の勝ちでした。端を破るところまではふたりとも出来ているのですが(六枚落ちや四枚落ちなどでは端攻めをするのが定跡です)、その後の詰めがまだまだ甘いようです。飛車を成り込んだ時点で安心してしまい、終盤の「寄せ」ができていません。六枚落ちの定跡だけでなく寄せのテクニックもしっかり勉強して、Kaくんにはそろそろ僕を負かしてほしいところです。

道場の初めと終わりでは詰将棋のルール解説をして、みんなに3手詰の問題を解いてもらいました。すぐに解ける子もいれば、まだ詰将棋のルールがよく分かっていない子もいるようでした。たくさん対戦することに加えて、たくさん詰将棋を解くことも将棋が強くなるための重要なステップです。まずは1手詰や3手詰からでよいので、詰将棋を考える習慣をつけてほしいなと思います。詰将棋は頭の体操にもなり、良い思考の訓練にもなることでしょう。将棋道場のみんなの棋力がさらにアップして、充実した対戦が繰り広げられることを期待しています。

(百木 漠)