高木です。
「ケンタウル祭(星祭り)」の夜、「星めぐりの口笛」が聴こえたり「青いマグネシヤの花火」が燃えたりする浮き足立って華やいだ街のなかで、ジョバンニはひとり「そこらのにぎやかさとはまるでちがったこと」を考えています。
しかしそれが具体的にどんなことなのかは、『銀河鉄道の夜』の文中では明言が避けられています。
そこでK君には宿題として、ジョバンニの心情を読みとり、彼が一体どんなことを考えているのかを挙げて、書いてきてもらいました。当然、この問いには、明確な答えはありません。また答えは一つだけとは限りません。あるいは複数考えられるかもしれません。
これまで『銀河鉄道の夜』の取り組みでは、「ジョバンニは何故そう思ったか」という「理由」を問うて、それに答えてもらうという方式でクラスを進めてきました。それは、心情を前後の因果関係から分析していく試みでした。
しかし今回は、それとは視点を変えて、より登場人物の心情に寄りそうようなかたちの問いを立てました。つまり、一義的な「理由」を問わず、複雑に絡み合った感情を、ジョバンニの視線でただ愚直に記述してもらう、ということです。
K君は、ジョバンニの考えごとを、重複することなく六つも(!)挙げてくれていました。これまでの文章をきちんと読み込めている証拠です。ただ、通例の「なぜなら〜だから」という形式の解答にならないことにある種の不安があったのか、いつものK君の表現力の豊かさが文章から影を潜めてしまっていました。
そこで、今日のクラスの取り組みでは、書いてきてくれた作文をもとに、六つの考えそれぞれを、より詳しく書いてもらうことにしました。母の病気のことやカムパネルラのこと、いじわるなザネリのことなどを熱心に書いてくれ、今日中には終わらなかったので、続きは家に持ち越しました。
ジョバンニの父が監獄にとらえられているかどうか、という話になったときのことです。
K君が書いてくれた「監獄」という漢字に誤りがあったので訂正すると、K君が監獄の「監」と監督の「監」が同じ漢字だという話をしてくれ、さらに「監」の上半分と「督」の下半分を足してそこに「ハ」をつければ「賢」という字になるという話になりました(実際には「
最後のやりとりは、永久保存バージョンですね。願わくば、Kくんが大人になって、このエントリーを読まれますように。