今号の山びこ通信(2012/6)の記事を一つずつご紹介しています。(以下転載)
『中学英語』(1~2年生) 『高校英語』 『英語一般(講読)』(担当:浅野直樹)
単純な事実として、語彙が多ければ多いほど英語がわかるようになります。とりわけ一通りの文法事項を習得してからはそうです。あるいは逆に文法を習う前の小学生についてもそれは言えます。
語彙を増やすためには市販の単語集を使うのもよいでしょうし、英文を読んでいるうちに出くわした未知の語を集めて独自の単語集を作るのもよいでしょう。しかしこのように意識して覚えようとした語はまた忘れやすくもあります。ここでおすすめしたいのは、すでに知っている語について英語の意味を調べることです。そうするとすごく記憶に残ります。そしてその事柄についての理解も深まるので一石二鳥です。
このやり方での材料は歌から最も豊富に仕入れることができます。歌詞や歌のタイトルに英語が採用されていることは非常に多いです。カタカナ語として日本語の中に定着しているものを含めると英語が入っていない歌を探すほうが難しいくらいです。ぜひお気に入りの歌の中の英語を辞書で調べてみてください。きっと新発見があります。意味を調べたせいで幻滅することもあるかもしれませんが、その点はご了承ください。
アーティストのグループ名も英語の宝庫です。EXILEは「国外追放」という意味です。そんな彼らが国歌を歌うとは皮肉なものですね。Mr. Childrenには大いに感謝したいです。彼らのおかげでchildの複数形がchildrenだということが定着しました。その昔にはチャイルズというアイドルグループがいましたが…。Dreams Come TrueはSVC構文のいい例文になっています。SMAPはSports Music Assemble People(スポーツと音楽を結集する人々)の頭文字を取ったものだというのが有力な説です。
頭文字を取った略称の本来の意味を考えるのもいいですね。このところ話題のTPPはTrans-Pacific Partnership(太平洋を越えた相互関係)です。APECはAsia-Pacific Economic Cooperation(アジア太平洋経済協力)ですから同じPacificのPですが、OPECはOrganization of the Petroleum Exporting Countries(石油輸出国の組織)ですので、Petroleum(石油)のPです。
英語に敏感になると思わぬ発見があることもあります。最近は原子力関連の話題に事欠きませんが、英語では原子力も核も同じnuclearで区別しません。逆に日本語で責任に相当する語はresponsibility、accountability、liabilityの3つありますが、語の成り立ちから考えるとresponsibilityは応答責任、accountabilityは説明責任、liabilityは法的責任だと理解できます。
(浅野直樹)