『ラテン語中級講読』──山びこ通信より(2007.7)

『ラテン語中級講読A』(担当:山下太郎)

このクラスではキケローの作品を読んでいます。すでに『老年について』と『アルキアース弁護』を読了し、今は『友情について』を読んでいます。「友人は第二の自己である」、「真の友情はまれである」など数多くの名句や警句に満ちた作品です。キケローの原文を読んでいると、文法や語彙の知識だけでこの作品の魅力を感得することはできないという当たり前の事実を痛感させられます。キケローに限らず、古典作品読解の基本とは、読者自身の「思索を楽しむ気持ち」に尽きると言えるのではないでしょうか。それが真の意味での「スコーレー(ゆとり)」ということであり、「学校(スクール)」の語源も元来そこにあるはずです。「友情」という身近なテーマについて、よくぞここまで深い議論を展開できるものだと感心しながら、ちょうど今、全体の3割程度まで読み終えたところです。

(山下太郎)

『ラテン語中級講読B』(担当:山下太郎)

このクラスではウェルギリウスの作品を読んでいます。すでに『牧歌』を読了し、今は『農耕詩』を読んでいます。ドライデンをして「最高の詩人による最高の詩」と言わしめた傑作です。全部で2000行ありますので、3,4年かかる計算ですが、ワインを味わうようにじっくり丁寧に読んでいます。『農耕詩』が終われば、いよいよ『アエネーイス』(ヨーロッパ古典を代表する英雄叙事詩)に挑戦します。これは1万行の作品なので20年以上かかりますが、なんとか読みたいと考えています。古典の読解はそれ自体に意味があるので、どこから始めてどこで終わってもよいと思います。途中参加は大歓迎です。Festina lente. (ゆっくり急げ)をモットーにして取り組んでいきたいと思っています。

(山下太郎)