『ラテン語初級文法A・B』 (担当:山下大吾)
今学期の『ラテン語初級文法』コースでは、それぞれ個性のある二つのクラスが開講されています。一つは従来のカリキュラム通り、即ち一学期三ヶ月間で基礎を固めるBクラス、今ひとつは、同様の課程をBクラスの倍の期間、二学期で終えるというAクラスです。教科書は基本的に両クラスとも岩波書店刊田中利光著『ラテン語初歩 改訂版』を用い、時に他の文法書を参照しながら授業を行っております。それぞれお一方ずつ受講されています。Bクラスは言わば速習コースに当たるもので、毎回およそ四課ずつというペースで進み、それだけに一回の授業で学習する文法事項は多岐に渡ります。そのため受講生の方のご負担も相当なものと察せられますが、練習問題の正答率も非常に高く、今のところ順調に進んでおります。お話を伺ったところ、かつて英語で書かれた入門書で勉強を志されたとの由、今回は再挑戦ということになります。
Aクラスは受講生の方のご希望に沿った形で今回新たに開講されました。二学期合計24回というカリキュラムは、一般の大学で行われている初級文法のものより若干少ない程度と言えるでしょう。自身学部生時代に学んだ際の授業の進み方や、その折感じた疑問点を生かすことができればと思いつつ授業を進めております。今のところ時間に余裕があることから、Bコースでは授業内に行っていない、受講生の方の自由選択とさせていただいている和文羅訳問題にも、なるたけ取り組みように努めております。
双方のクラスにおいても、現段階では文法事項の確認やその繰り返しという、大変重要なのですがどうしても単調な「作業」に終始してしまいがちです。その弊に陥らぬよう、息抜き、あるいはアクセントになればと望みつつ、その折々に適した文学作品の引用に助けを借り、あるいは英語などで見られる関連した語学的な話題をご指摘するよう努めております。また一対一という学習上非常に恵まれた環境ですので、少しでも疑問を持たれた場合、その都度遠慮なく質問されるようお願いしています。Bクラスでは来月末、Aクラスでは来学期末に無事ゴールを迎えられるよう願いつつ、毎週楽しくも真剣な、ゆっくり急げの歩みを進めております。
(山下大吾)