『ラテン語初級講読C 』(担当:前川裕)
今学期も引き続きセネカ「ルキリウスヘの手紙」を読んでいます。受講生お二人はもう随分とラテン語に慣れていらっしゃるので、ほとんど滞りなく読み進めています。セネカはやや文法的な破格が多いため、時には判断に迷うところがありますが、幾つかの読みの可能性を残しつつ先に進んでいます。セネカの言葉は現代においても鮮明で、まるで私たちに語りかけているかのように感じる内容もあります。人間はそれだけ変わっていない、ということでしょうか。基本的には「心を平静に保つこと」を呼びかけるのですが、さまざまな場面や事例においてその具体例が述べられます。例えば第30書簡では、死を不必要に恐れる必要は無い、と主張されます。常に死が近くにあることを意識することが大事だという意見は、中世思想にもつながるものかもしれません。
余った授業時間については、おまけの話をしています。最近はラテン語記事のホームページ Ephemeris から、最新ニュースのラテン語版を読んだりしています。英語学習で、既に日本語で知っている内容を英字新聞で読むことが勧められますが、ラテン語学習でも同じことが可能となっています。時事用語のラテン語訳など、古典とはまた違った切り口でのラテン語を楽しんでいます。(Ephemerisはグーグル検索すると見つかります。興味のある方はご参照ください)
次学期も引き続きセネカの予定です。初級文法修了程度(独学でも構いません)でご参加できますので、ぜひご連絡ください。
(前川 裕)