ことば1年B

福西です。
先週は、第11回でした。早くも残すところ1回となりました。

この日は、Hiちゃんが俳句を作ってきてくれました。

しおひがり きれいなかたちの かいがらね
しおひがり いっぱいいたよ かにさんが
しおひがり いっぱいいたよ さかながね
しおひがり いっぱいとれた あさりがね

潮干狩りのことを一生懸命に詠んでくれました。Hiちゃんの作品にはどれも思いの丈が表されていて、いい俳句が多いと感じます。「いっぱいいたよ かにさんが」と倒置になっているのもいいですね。そういえば、お兄ちゃんのHi君が「父の日に あさりをとりに 三重県へ」と書いていました。きっと家族旅行の思い出ですね。また、Hiちゃんと言えば、幼稚園の頃の「かえるは かわいいな とんでた ほしいな」の俳句を思い出します(私はあの俳句が大好きです。あの頃から成長したとも思えますし、ずっと変わらないとも思います)。

さて、この日も最初に10分ほど「お直し」がはやりました。今回は私の方からも考えてきて、「こぎつねのおかいもの」に登場するコンが、いま「森の学校」で人間たちの使うひらがなを勉強しているので、それをみんなに見てもらいたい、という設定でしました。

onaosi.jpg
(こんなに束に^^;)

ほとんどは、容赦なく×がつけられているのですが、中にはやさしい生徒もいて、ほとんど○で、ぽつりぽつり×をつけてくれることもあります。そういうのが返ってくると、なんだか「じーん」としてしまいます(笑)

さて、今日のお題目はカミキリムシです。

kamikiri.jpg

前日のしぜんクラスで、Ta君とSaちゃんがゴマダラカミキリを二匹持ってきていたので、ちょうどその話にすることにしました。

さて問題です。日本にいるカミキリムシは何種類いるでしょうか?
1)10種 2)100種 3)それ以上

生徒たちは全員3)に手を上げました。正解です。実は800種いるそうです。世界中ではなんと1万種もいるそうです。大変バラエティーのある生き物なのですね。山の学校の玄関にもちょうどノコギリカミキリの殻(アリに食べられた後の)が落ちていたのを、Ta君が見つけました。

Ta君と言えば昨日「カミキリムシって何を食べてるの?」と質問していたので、それについても調べてきました。Ta君が知っていた木の皮のほかに、イチジクやみかんも食べるそうです。

問題2
さて、カミキリムシは人間にとっていい者(益虫)でしょうか、悪者(害虫)でしょうか?

「わるい?」と誰かがポツリと言うと、みんなもつられて手を挙げました。「でも、それはなぜでしょう?」
「木をかじるから?」
「木をかじると、どうなるのでしょう?」
「それは…家に穴が開くから?」
「ああ、ほとんど正解。家を建てるのに使う材木を育てている人が困るそうです」
「でも、ぼくら子どもにとったら、いいものやで!」とすかさず弁護が入ります。
「先生も好きだよ。昔、近所の空き地にイチジクの茂みがあって、夏になるとよく取って遊んでいたから。今でも大好きです」

カミキリムシは、あのつかまえた手ごたえが、何ともいえない上等な感じがします。いわば子どもたちの身近なヒーローですね。

問題3
さて、「カミキリムシ」の名前は、何からついたでしょうか?

そこで、Moちゃんがさっと手を挙げて、「髪を切るから?」と答えてくれました。そうです、1)紙を切る…と言おうとした矢先の正解でした。

と、ひとしきりカミキリムシの話をしたところで、後半は、「俳句を一句作る」という約束で、別当公園に実物を捕まえに行くことにしました。「そこにいるの、知ってる!」と子どもたちの間では有名スポットだそうです。昨日Ta君たちが持っていたカミキリムシも、そこでとったそうです。

公園では子どもたちが遊んでいて、その中に私たちが「お邪魔しまーす」という感じで入っていきました(遊ばずに、ちゃんと目的のことをしてくれていたのが偉かったです)。早速お目当ての虫を探しました。すると、じっと見ていないと見えないのですが、プラタナスの上に、確かにいました。一匹、ゆっくりと樹皮の上を動いています。午後のせいか、高いところにいて、残念ながら肩車をしても捕まえることはできませんでした。このあと、時間が来たので、教室に戻りました。

かみきりむし きのうえに のぼっていく Moちゃん
かみきりむし きのうえに いっぱいいるね Hiちゃん
かみきりは かまれると いたいんだ Ko君
かみきりは かまれると いたいんだ Ta君
かみきりは ながいしょっかく ながすぎだ Saちゃん
おいしい いちじく おいしかった Naちゃん

Moちゃんは今日捕まえられなかった体験を俳句にしてくれました。木陰から見上げているMoちゃんの様子が目に浮かびます。Hiちゃんの俳句は実際以上に「気持ち」が膨らんでいるのが、Hiちゃんらしいと思いました。Ko君とTa君は一緒に並んで書いていて、書くこともまた同じなのがほほえましいです。実際一度かまれたことがあるそうで、「そういう時は、背中を持てばいいんやで」と、他の人にアドバイスしていました。以前何度も捕まえたことのあるSaちゃんは、よく知っているなと感心します。

ところでカミキリムシの気持ちになって俳句を作ってもらおうと、最後にイチジクを割ってみんなに一かけらずつ配りました。もともとカミキリムシにあげようと思っていたのですが、今回はつかまらなかったので、みんながその代わりです(冷やしていないので、もちろん風味は保障できませんが^^)。

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イチジクは中を割ると、独特の模様をしていて、「うわ、気持ち悪!」と食べるのを遠慮するデリケートな生徒もいれば、「おいしい!」という生徒と二手に分かれました。俳句にそのことを書いてくれたNaちゃんにはヒットしたようで、よかったです。カミキリムシはうらやましいことにきっと何十倍もおいしく感じていることでしょう。

来週はいよいよ最終回です。夏休みに入る前に、セミの話をしようと思います。